別れ方が違う理由 -堂安律選手とパトリック選手の退団によせて-

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試合後、移籍を報告するセレモニー内のスピーチで「アウェイまで遠征して応援するサポーター」や「スポンサー」に対する感謝を口にした律の姿に、U-23(J3)という難しい環境でプレーした経験が活きているのかもしれないと感じた。J1の恵まれた環境は当たり前ではない。プロサッカー選手として、どのようなステークホルダーからサポートを受けているかを理解するのは重要だ。ピッチ内だけが選手の働くフィールドではない。

道が拓けた夜 -堂安律選手の活躍に想う-

また、比較的シャイな選手が多い印象もあるガンバ大阪で、自分の気持ちを素直に言葉にしていた点もすごく良かった。J1で結果を出す(タイトル獲得などでクラブに貢献をする)前の海外移籍に批判的な声も聞くが、個人的にはどこに行ったとしても応援したくなるキャラクターだ。

アカデミー時代から才能を嘱望された堂安律

一方、そんな律のセレモニーを眺めながら考えたのは、同時期に退団するパトリックのこと。律と比較すると少し扱いが寂しい気がする。パトはどんな心境で大阪の地を去るのだろう。

中途入社した会社の先輩の言葉を思い出す。

「新卒入社組は特別扱いされるけど、中途採用組は放置だよ」

アカデミー育ちの律が特別な存在であることは間違いない。一方で、クラブへの貢献度(活躍)を考えれば、パトの退団セレモニーも行われるべきだと思う。パトが国内移籍であることや、別日にお別れイベントを開催していることなど、セレモニーが行われない理由は色々あるのだろうが、律のセレモニー中も心の片隅でモヤモヤした気持ちが拭えなかった。

だからこそ、サポーターからの“パトリックコール”は非常に意義があった。選手間で行われた胴上げの様子にも、同僚からの想いを感じられてホッとした。皆の想いが少しでも本人に伝わっていれば嬉しい。

2014年の3冠にも貢献したパトリック

道は違うが、律もパトもこの先のキャリアが素晴らしいものになることを祈っている。2人ともガンバでプレーしてくれてありがとう!

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1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き