スポーツが持つ物語性 -「なぜ彼女たちはカープに萌えるのか」(迫勝則)を読んで-




大学院生という立場を隠れ蓑に無職期間を満喫する時間も2カ月を過ぎて、そろそろ来春の社会人復帰を目標に転職活動準備を始めている。「スポーツ×メディア」という前職と変わらない軸をふまえつつ、面接の想定問答を作成する中で「あなたにとってスポーツとは何ですか?」という問いの答えを出せずにいる。こんな抽象的な質問をされる可能性は低い気もするが、30歳を過ぎて会社を辞めてまで学んでいるそれについて持論は持たなければいけないだろう。今回の記事はそんなモヤモヤした気持ちを整理する参考になる可能性を期待して読んだについて。

スポーツが持つ物語性

本書は大学教授でもある迫氏がタイトル通り「萌える(応援する)理由」をカープ女子へのインタビューや自身もカープファンであることを背景とした参与観察から考察し、仮説を提示している。その中で一番納得感がある論は「物語性」について。

「私がカープを応援し続ける理由は、球場に物語が溢れているからです。(中略)それをみんなで、ただ熱く応援する空間は、他にないように思います」

カープ女子の言葉であるが、ここにヒントが詰まっている。カープの場合「自前で選手を育てる」を“一般人の常識としてのとるべき行動”と合致するという理由からチームに惹かれる要因の一つとして考察されている。要は自分と重ね合わせやすいコンテンツであるということか。そこから考えれば、同様に各スポーツチームそれぞれが独自で語れる物語性(チームのビジョン)があるだろうし、第2のカープ女子を誕生させる再現性はあるようにも思えてくる。

ガンバ大阪に自分の人生を重ねて

また、カープ女子現象で注目したいのは(本書の趣旨から外れるが)カープ女子がコミュニティとして影響力(インフルエンサー)を持っており、それゆえに一流企業とのコラボレーションを実現し、チームに大きな収入源となっている点である。“コミュニティ”はトレンドで、有名事例で言えば「ネスカフェアンバサダー」や「じゃがり校」などがあるが、スポーツ界にとってもマネタイズにおける高いポテンシャルがある。ガンバが始めた「#ガンバ写真部」もその第一歩だと捉えることができる。

何を伝えたいのか(まとめ)

現時点で「あなたにとってスポーツとは何ですか?」への回答は「物語」。自分を重ねること(物語化)で応援に熱が入る。そして、その応援を通じて逆に勇気をもらえる。応援している彼等はもはや自分なのだ。つまり、仮に私が「スポーツ×メディア」で働く場合、伝えたいものは新しい物語なんだと思う。本書内でも批判されている「カープ女子=イケメン選手好き」のようなステレオタイプ(的外れ)な物語ではなく、多くの人が自分を重ねることができる物語を考えたい。きっとそこには社会的な立場や地位の差は存在しないし、そうやって応援する人がスタジアムにあふれた時にカタルシスが生まれるのだと思う。これは、スポーツだからこそ持てる魅力だろう。

書籍概要

書籍名:なぜ彼女たちはカープに萌えるのか

筆者:迫勝則

発行:KADOKAWA

価格:1,400円(税別)※amazonで中古390円~

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1 個のコメント

  • カープ女子ならぬ、カープおばさんです。
    まさに仰る通りで、カープの勝ち方は物語性が強いと思います。(82勝のうち38回が逆転勝ち、リーグトップの得点数など)あと負け方も劇的なものが多いのもあいまってか?中毒性が高いのです。

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    ガンバ大阪サポーターブロガー。東京在住30代男性。10年間の衛星放送会社勤務を経て、サッカーメディア会社へ。筑波大学大学院スポーツ社会学修士。週末ダイエットフットボーラー。趣味は炭水化物抜きダイエット。好きな食べ物はカレーライスとラーメン。