【ACLアウェイ遠征記 / 広州恒大編】中指を立てられながらの応援で考えたこと

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今回の広州遠征のハイライトは2つ。1つ目は「食は広州に在り」の格言通り、満喫した中華料理。もう1つはスタジアム内で強く感じた「日本人への敵意」。それは広州サポーターからだけではなく、試合中に応援方法について何度も注意してくる警備員からも感じた。ただ、そうした敵意の背景にあるのが、よく言われる“反日感情”なのか……少し違和感も覚えている。

アウェイの洗礼 -ACL遠征のすすめ-

2018年11月9日

敵意の本質

戦前の予想通り、広州恒大サポーターは我々(ガンバ大阪サポーター)に対して敵意をむき出しにしてきた。中指、首切り、罵声……そうした“圧倒的アウェイ感”を経験するために海外遠征をしているので、個人的には立てられた中指の数だけ高揚した。

彼らは広州恒大がゴールを決めると喜ぶのではなく、我々に視線を向けてバカにするようなジェスチャーを優先した。勝つことが目的ではなく、日本のクラブが負けることを望んでいる。そんな風にも見えた。

今回の試合も安全上の理由から、スタジアムへはバスでの集団移動が義務付けられ、スタジアム内では我々を大勢の警備員が囲んだ。ただ、警備員によって安全が担保されていることに安心しているのは広州サポーターではなかったのだろうか。なぜなら、試合後に街中で広州恒大のユニホームを着た何人ものサポーターとすれ違ったが、誰も敵意を向けてはこなかったから。むしろ、フレンドリーだったと言っていい。

ACLでJクラブサポーター相手に侮辱的なジェスチャーや罵声を飛ばすのは、反日感情ではなくイベント。スタジアムがある種のストレス発散の場となっているようにも思えた。集団心理も働いて、我々にペットボトルを投げたものの、特にJクラブに強いライバル心がある訳でも、反日感情がある訳でもない……そんな可能性もあるのではないか。

一方で、敵意の真意はともかく、今回の試合会場となった「天河体育中心体育場」はこれまでACLで訪れた中国のスタジアムで一番熱量があったことは間違いない。静観するサポーター数の少なさ。ガンバ応援エリア以外のすべての客席からゴール裏のような声援が響く雰囲気は圧巻。だからこそ勝ちたかったが、結果は敗戦。ただ、アウェイゴールを決めた1点差の敗戦は悪いものではない。ホームで十分逆転できる点差だ。

異国での応援は私にとって麻薬みたいなものだ。もう止められない。毎回新しい刺激がある。広州恒大に勝って、決勝で中東の雰囲気も味わってみたい。

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1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き