「新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる」(岩田健太郎)

メディア寄稿実績

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の惨状をメディアに伝えたことで一躍知名度を高めた岩田健太郎教授の著書。岩田教授はサッカーファン(ヴィッセル神戸サポーター)であることでも知られ、専門分野である「感染症」を「サッカー」との類似点を紹介することで、分かりやすく解説した内容となっている。

書籍概要

書籍名:新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる

著者:岩田健太郎

発行:エクスナレッジ

価格:1,500円(税別)

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真面目なユーモアを楽しむ

大前提として、サッカー本ではなく新型コロナウイルス対策本である。故にサッカー用語の注釈が多々入っているのだが、それが面白い。例えば、我らがヤット(遠藤保仁)の注釈。

ガンバ大阪の看板選手。元日本代表。愛称「ヤット」。車の運転はつねに法定速度以下を遵守して安全運転しているとの未確認情報あり。サッカーも車もスピードの出し過ぎはミスを生むという冷静な判断かもしれない。ピッチを俯瞰するかのように全体を把握し、状況に応じたプレーの選択でゲームをコントロールする。不要不急のシュートは打たない主義。

サッカーに例えてコロナ対策を解説することで、サッカーファンとしては納得感がある言及が多数。一方、時々で「分かるような分からないような……」例えが入っているのもまた一興。「ボケているのか、真面目に答えているのか……」と推測しながら読むのも楽しい。全体的に悲観的にならず、ユーモアを交えて余裕をもったスタンスで書かれているのも読みやすい。

今後、Jリーグが再開されるにあたって、ピッチ内外の感染リスクについて解説されている章は新しい行動指針の参考になる。オンザピッチでは「すっぽんマーク」「審判に顔を近づけての抗議」は感染リスクになるので、避けた方がいいと言及されているのには笑ってしまった。サポーターの感染リスクについても解説されており、これまで普通にとっていた行動が感染リスクとなる事例の数々に自覚的にならなければいけないと痛感した。

新型コロナウイルスの恐怖は「知らないことが多すぎる」ゆえなので、7月からのJリーグ再開(スタジアム観戦)にむけて本書で情報を入れておくのは不安軽減にもつながるはずだ。

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ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き