Jリーグ特任理事などを務める池田純氏が、横浜DeNAベイスターズ社長時代を振り返った一冊。「横浜スタジアムのTOB」をはじめとする、当時話題になった経営手法の裏側が解説されている。
書籍概要
書籍名:スポーツビジネスの教科書 常識の超え方
著者:池田純(横浜DeNAベイスターズ前球団社長)
発行:株式会社文藝春秋
価格:1,500円(税別)
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基本戦術
ベイスターズの“基本戦術”を設定した経緯についての章が最初の読みどころ。サッカー界ではFC今治の「岡田メソッド」が有名だが、“型をつくる”重要性が語られている。選手の獲得や評価もその型があることによって基準が明確になり、活動に継続性が生まれるという考え方。型を通じて得られたチーム内の共通認識が組織を変えたエピソードは、スポーツ界以外でも参考にできる部分が多い。フロントの現場介入という、業界的にはタブー視されていたことによって改革が行われていた事実も新鮮。
仕組みやルールで組織を統率、マネジメントするのも球団経営におけるチームとの関わり方の1つの手法なのです
イベントのブランド化
お客さんの立場としても実感があるが、集客面の強化がチーム(競技面)の後押しになるという考え方も、この本で強調されているポイントの1つ。池田氏が集客を考える上で意識したのが「イベントのブランド化」である。女性ファンをターゲットとした『YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL』(限定ユニホームのプレゼント等)など、季節毎に開催されるイベントを恒例化するこによって、認知度を高める(来場意欲を促進する)というアプローチ。試合数が少ないJリーグこそ真似できそうな気もする。
書籍の最終章で池田氏はこう語る。
スポーツビジネスにおいて「コミュニケーション」は本当に大切です。(中略)盛り上げなくてはいけないのです。ストーリーと感動があることが大切なのです。
プロスポーツのエンタメ化の重要性はベイスターズが証明した。池田純氏のような常識に囚われないスポーツビジネスマンが増えれば、日本のスポーツの楽しみ方はきっともっと多様化するのだろう。
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