WEBサイトについて考えたくなって再読した一冊。情報過多の時代でどうすれば伝えたい情報を伝えたい相手に届けることができるのか。これは私のようなブロガーだけではなく、企業の広報担当だけでもなく、もはや誰しもが抱える課題だろう。SNSがまだそこまで普及していなかった時代の事例にはなるが、Jリーグにおける成功事例の1つである「J’s GOAL」から今でも学べることはあった。
書籍概要
書籍名:J’s GOALの熱き挑戦
筆者:Jリーグメディアプロモーション
発行:TAC出版
価格:1,200円(税別)
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サポーター目線のコンテンツ
「サポーター目線」に特化したコンテンツを愚直に追求し続けたこと。これがJ’s GOAL成功の要因ではないか。本書で登場する施策の中に革命的な内容のものは1つも登場しない。
- スタジアム周辺のグルメ紹介
- サポーターのゲーフラ写真
- ACLアウェイ遠征ガイド
まるでサポーターの個人ブログのような企画。ただ、それが支持された。上から目線ではなく、仲間としての情報発信の精神が共感を呼んだということ。ここ数年、ファンベース 的な考え方のマーケティングが主流になりつつあるが、その先駆け的な存在だったのかもしれない。浦議、グラぽのようなサポーターサイトの存在感が高まるのも同じ理由。宇都宮徹壱さんが人気を継続しているのもアングラなイベントやスタジアムでサポーターとの交流を持っており、サポーターが宇都宮さんに“現場感”を感じるからだと思う。フットボリスタ に関してもラボのメンバーが書き手として登場するようになってから読む機会が格段に増えた。
要約すると、ターゲットを明確に定め、双方向性を確保し、認知よりも人気を高めるアプローチを重視した結果だと捉えている。おそらくPVほどUUは増えていないのではないかと推測するが、決してそれが悪いとは思わない。また、読むことで完結するのではなく、どの企画も行動を促している(つなげる)点も素晴らしい。
そして、何より“中の人”達の熱いJリーグに対する想い。それが原動力となっているからこそ伝わってくるものがあったのだろう。抽象的でスポーツ業界の弱点として語られることもある部分であるが、そこは今後も核としてあって欲しい。
勢いがなくなった理由
エビデンスがある訳ではないが、J’s GOALの勢いは過去ほど無くなったように感じる。一度閉鎖したものを復活させた割にはコンテンツに熱量を感じない。新企画への「挑戦」は減っているし、このサイトの核であった「愛」も語られなくなった。ネット上で完結する情報発信が増えたことでリアル(現場感)とのつながりも薄まった。一定レベルの知名度を得たのち、マンネリに陥っているように見える。サイトとサポーターはまるで熟年離婚する前の夫婦のような関係性だ。
その代わりとして別のプラットフォームで動画コンテンツが充実し、アプリが開発されるなどがあるので、別の若い女で満たされている的な側面はあるのだろうが、1つのサイトが長年人気を継続する難しさを感じずにはいられない。
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