10年前、大阪から上京した際に家を借りるエリアの候補は2つあった。
1つは埼玉県川口市。家賃が安く、“ほぼ東京”という立地は、通勤の利便性で魅力的だった。ただ、「埼玉県=浦和レッズ」という印象が強く、ガンバサポーターとしては心理的な抵抗があり、最終的には東京で家を借りることを選択した。親族からは「いい歳して馬鹿なことを……」と、冷ややかな視線を浴びせられたが、この判断は今でも間違っていなかったと思っている。神社で賛美歌は歌えない。
もう1つの候補は武蔵小杉。今日、駅から等々力陸上競技場まで歩きながら思ったことがある。「このエリアに(も)住まなくて良かった」。10年前はここまでフロンターレカラ―が強い街ではなかったと記憶しているが、今や完全に武蔵小杉=川崎フロンターレなのである。
クラブへの帰属意識を高めるために
武蔵小杉には職場の同僚も多く住んでおり、彼らがフロンターレに洗脳される過程を目の当たりにしてきた。街を歩いていて感じるのは、「サブリミナル効果」の影響。つまり、街中にフロンターレを忍ばせ、無意識にクラブのことを好きにさせてしまう罠が仕掛けられている。
「阪神タイガース県(大阪・兵庫)」で育った私。ファンでもないのに、スタメンの選手名を全員言えてしまう。テレビをはじめとするメディアはもちろん、街中のあらゆるところで“タイガースを浴びる”ことによる洗脳効果は、身を持って理解している。武蔵小杉でも、同じことが起きているのではないか。さらに、最近は紅白歌手「SHISHAMO」を使った音楽的洗脳まで行われているようである。「明日も」はとてもいい曲だ。
ちなみに、今節観戦した対川崎フロンターレ戦は惨敗。敗因はピッチ内だけではなく、ピッチ外も含めた総合力で考えるべきだろう。ガンバは2005年のリーグ優勝を機に、選手のタレント力や、魅力的な(攻撃)サッカーをPRして、サポーターを増やしてきた歴史と捉えている。その魅力が失われつつある現状を踏まえ、別のアプローチを取る必要性を武蔵小杉で痛感した。アットホームな雰囲気の等々力競技場から感じる、市民のフロンターレへの帰属意識の高さ。見習うべきところは多い。
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