三浦弦太選手のコイントス無双から考える残留争いの心持ち

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宮本恒靖監督は就任直後から『願掛け』を重視している。話題になったのは「ポストにお礼を伝える」行為であるが、論理的な印象が強い人物であったので意外な印象を受けた。 こうした言動は他の監督にも見られる。オリベイラ監督が敗戦の理由として「馴染みのライターが来ていなかったから」と(冗談ではあるが)語っているのを聞いたこともある。

選手においても「ピッチには右足から入る」「試合に勝った時は下着を変えない」など、勝負の世界ではスピリチュアルな部分に勝利の要因を求める事例は多々存在する。非科学的なことが受け入れられなくなりつつある現代において、なぜこのようなことが起きているのか。

レッズ戦でもコイントスに勝利し、7連勝

話題になっているのは三浦弦太選手の『コイントス無双』だ。弦太選手がコイントスで勝利し、逆エンドを選択し続けて7連勝。風や太陽の光を考慮して判断することもあるが、この逆エンドの選択に関しては「相手に攻められた時、サポーターも声を出して、一緒になって守って欲しい」という宮本監督の意向があることを日刊スポーツが報じている。

キックオフ前に選手が逆エンドに移動する様子を見たサポーターからは「よっしゃ!今日も勝てる!」と声が飛び、ピッチに目を向ければ弦太が仲間とハイタッチをして喜んでいる。その感情に論理的な根拠はあるような……ないような。

Jリーグはクラブ間の実力が均衡している。どの試合も勝敗を分けるのは紙一重の差。論理的には説明できないワンプレーが勝敗を決めることがある。いくら努力したところでコントロールできないことが世の中には存在する。

だからこそ、イントスの選択や声援のボリュームで運を引き寄せることができる……そう考えたくなる心理は理解できる。偶然性からは誰も逃れられない。ギリギリの勝負の中で“そうしたもの”にすがりたくなるのはサッカーも人生も同じなのかもしれない。

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大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。スポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営を経て新聞社へ。社会学、映画、読書、F1、競馬、スポーツビジネス、ラーメンが好き。