ガンバ大阪ジュニアユース所属の多田吾郎選手が「再生不良性貧血」発症し、骨髄移植が必要になったことを受けて、ガンバ大阪が実施している「骨髄バンク 啓発活動」。サポーターとして本件について知り、考えるタイミングだと考え、類似事例が紹介されている本書を読むことを第一歩とした。
書籍概要
書籍名:そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常
著者:早川史哉
発行:徳間書店
価格:1,500円(税別)
詳細はこちら
「応援の声」が希望になるのなら
アルビレックス新潟所属・早川史哉選手の目線で体調不良~検査~闘病~復帰と、白血病との闘いの日々が記載されている一冊。かなり詳しく治療の過程やそれに伴う心身の変化が記載されており、リアリティを持って病気について知る事ができる。
前述の通り、サポーターとして多田君の件に対して何かできることはないのか、そのヒントを探すことを読書の目的としていた。しかし、読み進める中で「自分にできることなどないかもしれない」「できることを探すことすらおこがましい」と感じた。それくらい壮絶なのだ。同時に病気こそ違えど、成人の早川選手ですら精神的に厳しい闘病生活を、中学生の多田君が乗り越えることができるのかという懸念も生まれた。
病気の治療法に関して医学的なことは分からないが、早川選手の言葉からは、希望と絶望の繰り返しである闘病生活において、希望の源は「応援の声」にあったことを知れる。多くの実名と共に応援に対する感謝が記載されていることは本書のハイライトでもある。そこにサポーターができる役割のヒントを感じる。
死をリアルに感じる環境の中、それと向き合う孤独。生きる源、闘病への活力が誰かの声ならばそれを届けたい。想像を絶する難病だからこそ、その病気との戦いが詳細に記録された本書の価値は高い。そして、辛かった日々を執筆を通じて思い出す作業をされた早川史哉選手に最大限の敬意を。
Copyright protected by Digiprove
コメントを残す