「スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド」(池田純)

現在はJリーグ特任理事などを務める池田純氏が横浜DeNAベイスターズ社長時代を振り返った一冊。「横浜スタジアムのTOB」、「ストーリーとセットで食べ物やグッズを売る方法」などタイトルの通りスポーツビジネスの最新トレンドが紹介されて読みごたえ十分。近年読んだスポーツビジネス書では一番濃い内容だった。

書籍概要

書籍名:スポーツビジネスの教科書 常識の超え方

著者:池田純(横浜DeNAベイスターズ前球団社長)

発行:株式会社文藝春秋

価格:1,500円(税別)

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チームの基本戦術

読み所は多いのだが、ベイスターズの基本戦術を一冊の本で明文化する取り組みについて紹介されていた章にまずはフォーカスする。サッカーではFC今治の「岡田メソッド」が知られているが、「型」をつくるアプローチはスポーツ界のトレンドか。監督・選手の獲得や評価もその型に合うか合わないかの基準で行われれば自然に継続性が生まれることとなる。このアプローチによって統一された共通認識が首脳陣や選手に浸透し、同じ方向を向いて戦える組織になるという考え方。

これまでの発想であればグラウンド(ピッチ)内のことは監督やコーチに一任し、フロントは現場介入しないことが良しとされていたが、この基本戦術明文化の発案や進行管理を経営側が行ったという点が新鮮である。

仕組みやルールで組織を統率、マネジメントするのも球団経営におけるチームとの関わり方の1つの手法なのです

イベントのブランド化

我々サポーターも実感した経験があると思うが、集客面での強化がチームの後押しになるのは明らかである。池田氏は集約増のために「イベントのブランド化」の重要性を説いている。女性ファン向けのユニホームプレゼントや企画を用意した『YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL』などその時季になると必ず開催されるイベントを進化させながら繰り返すことで認知度を高め、ファンを増やすという考え方。Jリーグでは川崎が近いアプローチを行っているがまだまだ一般的ではなく、試合数が野球と比べて少ないJリーグこそ行うべきだろう。

最終章で池田氏はこう記載している。

スポーツビジネスにおいて「コミュニケーション」は本当に大切です。(中略)盛り上げなくてはいけないのです。ストーリーと感動があることが大切なのです。

本書の中では「プロレス的」とも表現されているが、日本のプロスポーツがエンタメ化しつつあるのはファンを増やすのに必要なことなので賛同する。池田純氏や天野春果氏のような発想の方がスポーツビジネス人の主流になれば日本のプロスポーツの楽しみ方はますます多様化するはず。

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基本的にサッカーのことばかり考えているダメサラリーマン。大阪出身の30代男性。ハンドルネームが全く浸透せず「ロスタイムさん」「ロス7さん」などと呼ばれがち。健康のために炭水化物抜きダイエットを実施中。好きな食べ物はカレーライス。