「ガンバ大阪30年のものがたり」(高村美砂)

メディア寄稿実績

ガンバ大阪創立30年イヤーの発売に相応しい一冊。著者は長年ガンバのオフィシャル媒体を中心に記事を寄稿されている高村美砂さん。1991年から2021年までのクラブ史が、選手コメントにフォーカスする形で紹介されており、そのボリュームはなんと346ページ。選手コメントには“その後”の記述もあるので、点ではなく、線でガンバの歴史を知る(思い出す)ことが出来る。今だからこそ意味を持つような過去(エピソード)もあり、改めて歴史は紡がれていることを感じた。

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2021年3月7日

書籍概要

書籍名:ガンバ大阪30年のものがたり

著者:高村美砂

発行:ベースボール・マガジン社

価格:1,770円

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黄金時代の発信力

サポーター歴や年齢によって、読み方が大きく変化しそう。1993年のJリーグ開幕期は小学生だった私の場合、釜本監督時代に関する記述には記憶との相違があったり、2000年代のエピソードには懐かしさを覚えたり。松波さんがルマンドが好きだったこと、ミネイロが即興「フタガワソング」を歌ったことなど、当時サポーターだった人にとっては、ニヤリとしてしまう小ネタも充実。当時の状況が細かく描写されているので、本書をきっかけに記憶が甦るのも楽しい。

最大の読みどころは「西野朗時代」。ガンバ大阪の黄金時代と言ってもいいだろう。何と言っても登場人物のキャラ立ちすごいのだ。佐野泉社長の「8億円発言」(2006年の補強について)、西野朗監督の「対戦相手スタメン予想発表事件」(2007年ナビスコカップ決勝前日会見で「警戒する選手は?」の質問に対して)など、当時も話題になった発言が盛り沢山。

中澤聡太選手、安田理大選手、播戸竜ニ選手らはユーモアも含めた発信力に長けていたし、遠藤保仁選手は常マイペースな発言で和ませ、山口智選手、橋本英郎選手らリーダーは客観的なコメントでチームを冷静に分析した。そして、唯一無二の二川孝広選手という天才に関する章も必読。選手個々の魅力と共に、バランスも良いチームだった。

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2018年3月15日

無論、今のチームも魅力がある。この本を読めば分かる通り、歴史は紡がれている。残留争いをした今シーズンが「ガンバ大阪60年のものがたり」を読むタイミングでは、クラブ史のターニングポイントとして歴史認識されている可能性はあると感じた。

31年目の2022シーズンに向けて、今オフの読書に最適。みなさんが一番面白いと感じたエピソードは何でしたか?

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ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き