「アルプス一万尺」の歌い方 -アルウィンに熱狂が生まれる理由-

試合前、松本山雅サポーターによる「アルプス一万尺」のチャントが終わった時、ガンバゴール裏から拍手が起きた。それに対してガンバ大阪のコールリーダーは「拍手なんてしてるメンタリティだから、俺達はいつまで経ってもあれができないんだ」といった趣旨の発言をしたと記憶している。言いたいことは分かる。だらこそ、私も心の中では「うおおぉぉぉぉぉぉ!すげぇぇぇぇぇ!」と思いながらも「だから?(ニヤニヤ)」みたいな顔をしていははずだ。

ただ、仕方ない。皆、反射的に拍手をしてしまった。それくらい凄かった。埼スタ、ユアスタ、日立台……熱狂を生む様々なスタジアムを経験してきたが、松本山雅サポーターの躍動感は特別だった。こんなに感情が高ぶるスタジアムがまだ日本にあったなんて……。久しぶりに相手サポーターにライバル心を持った。サポーターとして原点のような気持ちにさせてもらった今、改めて考えたい。一体、何があの熱狂を生んでいるのか。

熱狂のスタジアム「アルウィン」

サポーター成熟過程の違い

まずはガンバ大阪サポーターとの比較から考えたい。ガンバ大阪はJ2では勿論、J1でもトップクラスのサポーター数がいる。アウェイ戦への動員数等などから考えると熱狂的な方も多い。これは積み重ねてきたタイトルがもたらした成果の1つである。

クラブの誕生過程が違うので、単純比較はできないものの、地域リーグからJ2に昇格する過程で松本山雅にあれほど熱狂的なサポーターが育った事実。地域リーグやJFLを経験している(苦労している)からこそ生まれるクラブへの愛や一体感、絆もあるのかもしれない。

しかし、同じような過程を歩んできたクラブが全て松本山雅のようにはなっていない。何か他にも理由があるはずだ。

甲府にヴァンフォーレが根付いていると感じた遠征

コミュニケーション能力の高さ

松本遠征で体感した事から仮説を立てる。アルウィン熱狂の源……それは松本山雅サポの「コミュニケーション能力の高さ」である。

今回の遠征ほど、現地の方から声をかけられた記憶がない。「今日はお疲れ様でした」「ありがとうございました」なんて当たり前。シャトルバスの中では唐突に「これ良かったら」と松本山雅の試合スケジュール表を渡され、開門待ちのスタジアム周辺ではオニギリとお茶をご馳走になった。同様の出来事はツイッターを見る限り、他のサポーターも多く経験しているようだ。

「そば処 種村」(サンプロ アルウィン)

対戦相手のサポーターに対して、ここまでコミュニケーションが活発なのであれば、仲間である松本山雅サポーター同士の交流はどれだけ濃密なのだろうか。思い返してみれば、試合前のアルウィンは「ピクニック大会」が開催されているかのような、穏やかな雰囲気だった。隣人とのコミュニケーションを避けがちな都会とは違う世界がそこにはあったし、試合中の熱量とのギャップにも驚かされる。

その圧倒的なコミュニケーション量はWEBの世界でも同じであった。松本山雅サポーターがガンバサポーターの松本(山雅)に関する感想(呟き)を積極的に拡散していたのだ。ガンバサポの呟きから、クラブの未来像を考えるツイートも散見されるなど、クラブに対する高すぎるエンゲージメントも印象的であった。

新しいビッグクラブの形

引き分けという結果で、上から目線の文章になって申し訳ないが、松本山雅はオンザピッチのクオリティとサポーターの熱量に差があるクラブだ。オンザピッチの充実がサポーターの熱量や数を牽引してきたガンバ大阪とは違う。どっちがいいという話ではないが、松本でプレーする選手にとってはやりがいがあるだろう。そうした過程を経て発展していく松本山雅というクラブの将来は非常に興味深い。

“ガンバ特需”の落とし穴 -アウェイ鳥取遠征を終えて-

J2での経験を積むこの1年間において、松本山雅(アルウィン)との出会いは貴重なものになった。J1では経験できないあらゆる経験から、たまにはガンバの未来を考えて見るのも悪くない。

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ABOUTこの記事をかいた人

駄文系サポーターブログ管理人。“サポーター目線”がコンセプト。Jリーグやガンバ大阪に関する雑記、ラーメンを中心とした全国のグルメ紹介記事などを執筆。10年間の衛星放送会社勤務を経て、サッカーメディア編集者に転身。筑波大学大学院でスポーツ社会学を研究(修士号取得)。趣味は炭水化物抜きダイエット。好きな食べ物はカレーライスとラーメン。ツイッターID:@7additionaltime