「日韓ワールドカップの覚書」(川端康生)

メディア寄稿実績

2020年フットサルワールドカップの日本誘致活動がいよいよ佳境を迎える中で、過去事例を把握したいと読んだ一冊。テーマは「2002年日韓ワールドカップの招致活動」。取材期間はなんと10年間。読み応え抜群。「長野オリンピック騒動記」しかり、メガイベントの日本誘致をテーマとしたスポーツ本は名作が多い。

「長野オリンピック騒動記」(相川俊英)

2018年2月9日

書籍概要

書籍名:日韓ワールドカップの覚書

筆者:川端康生

発行:講談社

価格:1,600円(税別)

詳細はコチラ

個人的な想いから、オールジャパンのプロジェクトへ

きっかけは、日本サッカー協会に所属する村田忠男氏の個人的な想いだったという。「日本代表がワールドカップに出場するためにはどうしたらいいのか」。その方法論として考えたのが“ワールドカップ開催”だった。突飛な印象も受けるが、何事も第一歩はこんなものかもしれない。

TV局にインタビューされた様子がニュース番組で放送された件 -ブラジルワールドカップの思い出-

2014年12月23日

そんな個人的な想いを機にスタートした活動(招致活動)の規模が、どんどん大きくなっていく過程が本作の読みどころ。招致活動と並行して立ち上げられた「Jリーグ」、水面下で激しさを増す韓国との招致競争、共催が決定した後のFIFAや韓国や財界との渉外(調整)……想像がつかないほど大きな規模で、各ステークホルダーの思惑が複雑に絡み合う様は、TBS日曜劇場のドラマを見ている様。

また、(単独開催ではなく)共催となったことによるダメージが、現在も色濃く残ることを再認識させられた。青森県、京都府、広島県……開催地争いの敗者が、その後のスタジアム建設(及び、県内のサッカー気運)においても苦労していることは、多くのサッカーファンも知るところ。

日韓ワールドカップを、“日韓友好”のきっかけとなったイベントと捉えている人もいるだろうし、メディアの報道でもそうした総括をよく目にした記憶があるが、現実はそんなに甘いものではない。いつかワールドカップを単独開催して欲しい。読了後、その想いを強く持った。

Digiprove sealCopyright protected by Digiprove
人気記事紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き