1998年フランスワールドカップに出場したサッカー日本代表の選手・スタッフ39名の証言を集めた書籍「6月の軌跡」の続編。コンセプトは「フランスワールドカップの20年後を追う」。中田英寿氏など一部選手を除く、ほぼ全関係者があらためて過去を振り返りつつ、近況について語るインタビューがまとめられている。多くの選手や関係者が、現在も何かしらの形でサッカーに関わり続けており、フランスワールドカップから現在に続く道を知ることは、現在のサッカー界を考える上でも重要な情報だった。
書籍概要
書籍名:日本代表を、生きる。 「6月の軌跡」の20年後を追って
筆者:増島みどり
発行:文藝春秋
価格:1,750円(税別)
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20年間続く道
20年という月日によって、選手をはじめとする関係者はフランスワールドカップの日々を冷静に消化し、客観視できるようになっている。本書に登場する人々は、現役選手とは違うサッカーとの距離感で、日本サッカー界にとってターニングポイントとなった経験を糧に、今を生きている。誰も過去に囚われておらず、フランスワールドカップを人生の通過点として解釈し、今を大切にしている姿勢が印象的であった。
その姿勢は、フランスワールドカップのハイライトでもある「カズ、北澤、市川外し」の張本人でもある北澤氏も同じ。自身にとって辛い過去に対しても感傷的にならず、ある種達観視して、当時を振り返っている(具体的な内容を本書でご確認を)。
名波氏はフランスワールドカップがあるからこそ、ジュビロの監督として国際基準で指導できていると語り、岡田氏は監督経験が転機となって、リスクにチャレンジすることにストレスを感じなくなったと語る。繰り返しだが、20年前が“今に繋がっている”ことを当事者の言葉を通じて知れるのはとても興味深い。こうした経験の積み重ねが、サッカー文化を成熟させていくのだろうと感じさる一冊だった。
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