解説者が発する“言葉”にフォーカスした一冊。NHKと地上波の解説比較のほか、実況アナウンサーが紹介する「解説者取扱説明書」など、多角的にサッカー中継における解説者の言葉が分析されている。読みどころは反町康治氏や都並敏史氏、後藤健生氏ら現役解説者へのインタビュー。何を意識して言葉を選んでいるのか、解説の裏側を知ることができる。これを読めばサッカー中継の観かたが変わる。
書籍概要
書籍名:解説者のコトバを聴けばサッカーの観かたが解る
筆者:河治良幸
発行:内外出版社
価格:1,200円(税別)
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オリジナリティ
私もサッカーブログを長く続ける中で“言葉”とはそれなりに向き合ってきた。「考え尽くした上でしか発せられないもの」が、私の中での“言葉”の定義であるが、その言葉を生業とする解説者が、何を考えているのかは興味があったし、参考にもしたかった。
本書の中で反町康治氏は「私情を入れる」ことを意識していると語り、都並敏史氏は自身の現役時代のポジションである「サイドバックの視点」を重要視していると語った。共通するのは、オリジナリティである。自分にしか発することができない言葉に価値がある。後藤健生氏はプロサッカー選手の経験がない代わりに、海外取材経験の豊富さがあり、それを武器として文化的側面からの解説が可能である。テクニック論だけでは語れない言葉の重み(核心)を垣間見た気がした。
著者の河治良幸氏は「サッカーファン総解説者」という言葉で、サッカーファンの成長に応じて、解説者の言葉にもより高いクオリティを求められていく未来を予想している。ならば私もサッカーファンとして、応援し続けてきた経験を武器に、言葉を発しつづけることで少しでも日本サッカーに貢献したい。言葉の多様性が日本のサッカー文化に新たな価値をもたらすと信じつつ。
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