ガンバ大阪サポーターがブログを書き続けてきた理由

メディア寄稿実績

先日、サポーター仲間と飲んでいる時に聞かれた質問が今も頭に残っている。

「ブログをやっていて良かったなと思うことは何ですか?」

ガンバ大阪に関するブログを始めて12年。その間、アフィリエイトで儲けがある訳でもなく、人気が出て書籍化された訳でもない。むしろ、サーバー代やドメイン代など諸経費の積み重ねでそれなりの赤字だ。同窓会で再開した友人に「えっ!?まだやってるの?」と笑われても、一度も会ったことがない人からクソリプが飛んできても、やめようと思ったことはない。スタジアムからクタクタの状態で深夜に帰宅しても記事を書いてから寝たし、会社で嫌なことがあった日もネタを探した。

意義があるから続けられているのだろう。今回の記事ではそれを考えてみたい。

理由①「サポーター仲間ができるから」

前述の質問に対してはこの旨の回答をしたと記憶している。「ご挨拶」でも書いている通り、ガンバ大阪について語る仲間がいないことがブログ開設の理由なので、ブログを通じた新たな出会いは何事にも代えがたい。想いを共有できる人が増えれば増えるほど楽しいのがJリーグだから。

情報発信をきっかけに、自分に興味を持ってもらえるという経験はブログならでは。最初は恐かった「もしかして、ロスタイムさんですか?」(名前ではなくブログ名で呼ばれる)とスタジアムで声をかけられることも、そうした出会いからサポーターの輪が広がった今を考えると、ブログの存在が社交性に乏しい自分の性格をフォローしてくれたと捉えている。ブログをきっかけに交流が始まった方々には感謝しかない。

私がラッキーだったのは、そうした出会いの中で交友関係を広げてくれるハブとなる人物が何人かいたこと。手前味噌ながら「『ロスタイムは7分です。』を書いてるこ~さんです」と紹介してもらうと、「あー!読んでます」となることが増えてきた。

ブログの感想が賛否どちらでも嬉しいし、知ってもらっていることは初対面でのコミュニケーションを格段にスムーズにする。長年書き続けてきた意味を実感できる瞬間でもある。今後は私もサポーターをつなぐハブの役割を果たしていくつもり。Jリーグ仲間のおかげで得た充実はJリーグ仲間に返す。

サポーターをやめるとき

2018年4月20日

皆さんが所属するコミュニティの10年後を想像してみて欲しい。会社、学校、地元……どうなっているのか想像がつかないものが多いと思う。その点において「趣味」の繋がりは強い。私は10年後もガンバ大阪を愛していると断言できる。そして、好きなものを応援している自分も好きだ。歳を重ねるごとに趣味(ガンバ)でつながったコミュニティの重要性の高まりを感じているサポーターは私だけではないだろう。

ブログとACLアウェイ遠征が交友関係を広げてくれた

理由②「サッカーへの理解が深まるから」

体操の内村航平選手が授業を理解したつもりの塾生に対して「説明してみて」と話す明光義塾のテレビCMがある。ブログを書くこと(≒説明すること)で身に付いたサッカーの知識・考え方は多い。

自分の意見発信をする上で、正しく情報を理解したい心理が働くのは当然のこと。つまり、アウトプットは精度の高いインプットに繋がっている。ブログでの情報発信を念頭におくことで、試合や本などの情報を“考えながら見る(得る)”習慣が身に付いた。主体的に情報を得続けて、サッカーに対する理解をそれなりに深めてきたつもり。

長くブログ続けるためには新しい知識を入れるしかなく、その積み重ねの中でサッカーを見る視点が増えたことはJリーグをより魅力的なものとしてくれた。戦術的な部分だけではなく、ビジネス、社会学、歴史文化……解釈は無限にあるような気もしている。好きなものを深く理解したいという欲求は誰しもが持つもの。私自身まだまだ見えていないものだらけだが、そう思えるのはJリーグのポテンシャルを感じていることと同義であり、ブログを続けるモチベーションにもなっている。

サッカーを通じて各地の文化や歴史も学べた

言葉は考え尽くした先にしか出てこない。書くことで頭が整理されて、最初に考えていたことと違う結論になることなど日常茶飯事だ。中田英寿氏は「Nataka.net」で、中村俊輔氏は「サッカーノート」でアウトプットする習慣を持っていたことが、成功要因の1つだというのはよく語られるところ。自分は何を考えている人間なのか、何をしたいのか、何をすべきなのか……ガンバ大阪を書くことはサポーターとしての自分を知ることでもあった。

理由③「ガンバ大阪に貢献したいから」

今年の春から通っている大学院の授業の一環で「新規のサッカーファンにはサポーターの姿を見せることでクラブへの帰属意識が高まる」という趣旨の論文を読み、強い納得感を覚えた。なぜなら私自身がそれに近い経験をしているから。

サポーターになりたての頃は、スタジアムで試合を観ること以上に「2ちゃんねる」や「FC OSAKA」といった掲示板を読むのが楽しみだった。その時間はサポーターとしての原体験と言っていい。インターネット上で交わされる議論に感化され「私も面白いことを書けるサポーターになりたい」と思ったことをよく覚えている。

ブログを書く私は、当時掲示板にコメントを書き込んでいたサポーターの分身なのだと思う。彼等が私を生んだ様に、当時の掲示板の熱量には及ばないまでも、私もこのブログを通じて新しいサポーターの誕生に貢献したい。

先輩サポーターの言葉が今の自分を形成している

これからのこと

このブログに伸びしろはさほど残されていない。アクセス解析からは読者が固定化していることが分かるし、PVこそ増えているものの、SNSを中心とした記事への反響からは読書が(長く読んでいただいている方ほど)マンネリを感じているであろうことも推測できる。

変化しなければならない。

私がガンバ大阪を好きでいられるのは、選手以上にサポーターの存在による部分が大きい。だからこそ、今後は自分語りだけではなく「紹介すること」に重きを置きたい。近年はサポーター同士で揚げ足を取り合うような事態が目立つが、一生懸命活動するポジティブな側面のサポーターの姿や魅力を伝えたい。彼等のJリーグやクラブに対する熱狂・熱量を紹介することで更にサポーターを増やすことができると信じている。

「サポーター」紹介記事:「店長には敵がいない」「サポーターの部室 -「CURVAさかゑ」店長インタビュー-

また、情報を発信するメディアはブログに限定する必要性はないとも思っている。アプローチを変えれば違う層にも届けられるはず。弊ブログのコンセプトでもある“サポーター情報(目線)”に特化したフリーペーパーやWEBマガジン、オフラインのイベントなど、アナログとデジタルをミックスしたアウトプットにも挑戦したい。この記事を読んで関心を持ったサポーターの皆様、企業の方、サッカー媒体関係者、是非一緒にやりましょう。

そして、最後は利己的で申し訳ないが、文章の書き手としてより成長したい。書くことが好きなので、より多様な表現をできるようになりたいし、他媒体でも書きたい。最近は費用をご負担いただく形で「カンボジアサッカー取材旅」に行かせて頂けたり、長年愛読していた「フットボール批評」に寄稿できたりと、貴重な経験に感謝の日々。中高生の頃、当時サッカーダイジェストでガンバ大阪担当だった川原崇氏のマッチレポートを毎週楽しみにしていた記憶は未だ鮮明で、ああいう客観と主観をミックスさせた人の心を揺さぶる文章の書き手に少しでも近づきたい。

メディア寄稿実績

川原氏の記事を読むたびに感じた興奮は未だに忘れていない

以上がガンバサポーターの「ブログ論」。

文章を書くことは楽しく、そして、恐い。「賛」だけの記事は存在せず、もれなく「否」がついてくる。最初はネガティブな反応に慣れなかった。良かれと思って書いていることを否定されるのは辛い。一番の仲間だと思っているガンバサポーターにSNSでブロックされていることも少なくない。ただ、それは情報発信をする以上避けられないことであるし、批判されること以上の意義や喜びがあることをこの記事を通じて伝えられたのなら嬉しい。

どうぞ引き続き宜しくお願いします。

Digiprove sealCopyright protected by Digiprove
人気記事紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き