「二郎」と名が付くラーメンは本家だろうと、系だろうと、素人にはあまり差が分からない。大量の極太麺、大量の野菜、大量のニンニク、大量のアブラ、大きすぎるチャーシュー、生卵……。
「なんて下品な食べ物なんだ」
正直、最初はそう思った。ラーメンが大好きだからこそ認められなかった。繊細さの欠片もないこの食べ物は、ラーメンへの冒涜だ。もう二度と食べない……と。
しかし、友人に紹介されたこの店のラーメンは違った。自分を恥じた。富士丸は違う。食べ終えた時、友人がの「二郎を越えるラーメン」という発言の意味が分かった。
お店紹介
店名:ラーメン富士丸
住所:東京都北区神谷3-29-11
営業時間:18:20~24:00(定休日:月曜)
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国道122号(北本通り)沿い、ニトリ本社の向かい側に毎晩現れる行列。営業時間の2時間前から人が並んでいるなんてことも普通の光景だ。東京メトロ南北線の志茂駅から徒歩5分程度。24時まで営業しているので、ナイトゲーム後にも立ち寄ることも可能。ただ、二郎系ゆえに量が多く、回転はかなり遅い。待ち時間は最低でも1時間は覚悟した方がいい。超大人気店。
食べるべき一品:「富士丸ラーメン」(850円)
写真は大盛ではなく、標準(普通)サイズ。野菜も、ニンニクも同様。“凶暴”とでも表現すべきビジュアルは富士丸ラーメンの特徴である。もちろん「麺少なめ」も注文可能。
存在感抜群のスープ。いい意味で油を飲んでいるようなインパクト。そのスープに浸して食べる“クタクタ”のヤサイが最高。店内に響き渡る「野菜マシマシ」をコールする声。野菜の上には“塊“と表現するのがピッタリな豚肉が乗せられ、その下には大量の極太平打縮れ麺。麺はすするのではなく、“噛む”という感覚で食べる。もちろん旨いのだが、そのボリュームに途中から目の前にあるラーメンと勝負をしているような感覚を覚えた。
オプションもおススメ。特に「アブラ」は絶対に注文すべき。旨味の増し方が違う。アブラを絡めれば絡めるほど、食欲が増進される。濃すぎるスープに少し飽きてきたら「生卵」に麺を絡めて、すき焼き風に楽しむと味変になる。有名な「天地返し」に代表される通り、食べ方に多様性があるのも面白い。
他店舗の富士丸も美味い
今回紹介したのは「神谷本店」だが、常に行列が絶えず、営業時間も夜のみなので、訪問を躊躇している方には他店舗という選択肢もある。どこも本店と比較して待ち時間が短く、昼営業を行っている店舗もある。また、各店舗限定のオリジナルメニューがあるので、複数店舗を回って『富士丸メニュー完全制覇』を目指してもいいかもしれない。
まとめ
店内は多少の狂気を感じる雰囲気がある。あれば食事なのか、信仰なのか、はたまた修行なのか。“信者”と呼ぶに相応しい熱心なファンによって築かれてきた富士丸文化。万人に推薦できるものではない。独特な注文方法や異常な麺量。心の準備をせずに大盛を注文し、器の前で青ざめている人を過去に何度も見てきた。
だが、そんな富士丸だからこそ惹かれるのだ。
食べ終わった直後は尋常ではない満腹感に「この先1年は食べなくていい」と後悔にも近い感情を抱くが、その数週間後には「早く食べたい」と体が欲する。世の中で一番中毒性がある食べ物かもしれない。一度食べたらやめられない。
ごちそうさまでした。
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