昨年秋に大学院の同級生とeスポーツチームを立ち上げて、まがりになりもスポーツチームのマネジメントを体験させてもらっている。チームを存続させるための「マネタイズ」は勿論のことながら、広報や人事、運営など……課題は山積。そうした中でチーム立ち上げ前から現在においても、最も大切なのは「想い」であるという考えは変わらない。原動力であるはずだし、それがないチームはガソリンを入れていない車に等しい。
その想いは「ビジョン」だったり、「理念」という形で世間に公表される。ビジネス的には軽視されることもある抽象的な要素であるし、近年のスポーツビジネスはスポーツに対する愛はなくとも、直接的に利益をもたらすノウハウをもった人が尊重される傾向があるように感じるが、最後はモチベーションがある人間が勝つ。“好き”は最強なのだ。その好きにファンの共感が集まり、発展していくスポーツ界であればいいなと常に思う。無論、甘い部分があることは分かっているけど。
そうした“想い”を大切にし、サッカー界で奮闘しているのがSC相模原の代表である望月重良氏である。
書籍概要
書籍名:全く0からのJクラブのつくりかた -サッカー界で勝つためのマネジメント-
筆者:望月重良
発行:東邦出版
価格:1,400円(税別)※アマゾンの中古で17円~
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日々挑戦
経営の知識がまるでない元サッカー選手の望月氏が海鮮料理屋店長から「相模原にサッカーチームをつくってくれませんか」と言われたことを機にチームを立ち上げ、J3に参入するまでを振り返る一冊。高原やファビオ獲得の裏側や、最終章にはホリエモンとの対談も記載されている。本書には難しいビジネス理論は一切登場せず、手探りで泥臭く経営を続けてきたことを生々しく知ることができる。慣れない仕事に困難の連続なのだが、本書の中で心が折れたような記述が一切ないことに驚かされた。
「できるか、できないか」を基準にしていると、いつまでたっても人生の一歩を踏み出せません。
大事なのは「情熱」と「信念」、そして「覚悟」。この3つの言葉が成功する鍵です。
くよくよしない、悩まない、振り返ったってしょうがいないと腹を決める。
最終的にはトップの情熱がクラブの結果を左右していきます。
クラブがどのステータスにいる時も「ワクワク」していたことが文章の一字一句から伝わってくる。常に前向き。サポーターやスポンサーの想いを自らの力に変えて「相模原の人達をサッカーで笑顔にする」というミッションに全力疾走してきた望月氏の様子は、これから自分の想いを形にすべく頑張ろうとする人にとって勇気となるはず。私自身も、今後の生き方を考える上で“原点”を思い返すきっかけとなった。
望月氏は最終章でこう断言する。
「やろうと思えば誰だってできます。ぜひ心の底からワクワクする目標や夢にトライしてほしいです」
