カウンターカルチャー……なんて言葉を使うのは大げさかもしれないが、アウェイ遠征で全国を巡る中で、“対抗勢力”として発展した食文化に出会う時がある。分かりやすい例を挙げるならば、一般的には豚骨ラーメンのイメージが強い福岡では、実はうどん屋さんも多いみたいなことだ。
では、蕎麦の印象が強い長野県のカウンターグルメは何か。信州ダービーを観戦した帰り道、想像以上に低くなった気温で冷えた体を温めるためのグルメ情報を検索していると、ある一文に目が奪われた。
“松本は信州のラーメン激戦区”
即決だった。松本市で最も人気のあるラーメン屋を訪問した。
お店紹介
店名:麺匠 佐蔵
住所:長野県松本市中央1-20-26
営業時間:11:30~15:00、17:30~22:00
HPはこちら
地元ではメディア露出が多いらしく、訪問した前日も「ローカルTVで紹介されていた」と入店を待つお客さんが話しているのを聞いた。その影響もあったのか、17時半の営業開始直前には50名以上の行列ができる超人気店。ちなみに、私は開店30分前に並んで3番目入店だった。
場所は松本駅から徒歩5~7分程度。通りを挟んで目の前には松本PARCO。ローソンとのコラボ商品が発売されるほど知名度が高い。食券購入は入店後。店内は1階&2階が客席で、1階はカウンターのみ。座席間には余裕があり、周りを気にせず食事に集中できる環境。
ラーメンメニューは味噌一択で、「魚介」「焦がし」「野菜」など、カスタマイズされたものも選べる。つけ麺もあるが、同時入店のお客さんは全員ラーメンを注文していた。寒い季節が長い地域ゆえにスープが恋しいという理由もあるのかもしれない。提供スピードは速め。客の回転スピードも悪くない。
食べるべき一品:「佐蔵味噌らぅめん」(980円)
北海道と同様、長野でラーメンを食べるなら「味噌」一択。信州味噌を使用したスープが最大の特徴。あまり経験したことがない味だったので、信州味噌の独自性は十分に感じられた。事前にレビューサイトを確認したところ「まろやか」という感想を結構見かけたが、私は逆の印象。パンチ(個性)のある味なので、好き嫌いは分かれそう。
長野県佐久市の安養寺で作られた大豆を原料とした安養寺味噌が使われているスープは、その濃厚さゆえに白米(ご飯もの)との相性が抜群。肉味噌が乗せられた「佐蔵めし」が最低限の味付けにされているのは、(上品な食べ方ではないが)スープをかけて食べると相性抜群であるがゆえだと予想している。
表面をラードで覆われた札幌の味噌ラーメンは冷めにくさが特徴の1つだが、佐蔵も理由は分からないながら最後までスープの温度がキープされていた。大満足の味。
まとめ
ラーメンでも十分な濃厚さを感じさせたので、つけ麺では信州味噌の味をよりダイレクトに味わえるのかもしれない。暑い季節に松本に訪問することがあれば注文してみようと思う。エリア的に外国人観光客も多かったが、味噌が異文化にも受け入れられているのは嬉しい。
店の近くには「松本城」はもちろん、「松本市美術館」など観光地も充実。後者は城下町の景観を一切無視した斬新な色使いがクールな草間彌生作品がズラリ。グッズショップに販売されていた「草間彌生人形」を買おうか最後まで迷った。ラーメンとセットでどうぞ。
ごちそうさまでした。