ガンバ大阪のスポンサーアクティベーション考察 -ロート製薬「デ・オウ選手権」を事例に-

メディア寄稿実績

5月末に発表された「クラブ個別経営情報」によれば、ガンバ大阪の2020年度営業収益は44億9100万円。内、スポンサー収入は18億9800万円。スポンサー収入に限れば前年度比+3,500万円で、営業収益における4割強を占めている。言わずもがな、クラブ経営における重要収入源であり、特に「入場料収入」を伸ばせないコロナ禍においてはなおさらである。

ガンバ大阪のダイヤモンドパートナー(最上位スポンサー)には「パナソニック」を筆頭に、「ロート製薬」、「アンブロ(デサント)」、「ダイセル」、「シップヘルスケア」と、大阪に所縁のある企業が並ぶ。地元(ホームタウン)に大企業自体が少ないJクラブもある中で、これだけの支援が集まってるのはありがたいこと。ダイヤモンドパートナーだけに限らず、すべてのパートナー企業様のおかげで楽しいサポーターライフを過ごせていると思うと、感謝しても感謝し尽くせない。

せっかくパートナーになっていただいたのだから、企業側にも大きなメリットがあって欲しい。サポーターとして当然の考えだ。個人的にはパートナー企業の商品を購入するなどを行っているものの、まったく足りない。だから、サポーターも協力できる“スポンサーアクティベーション”を実施して欲しいとずっと願っていた。

有名なスポンサーアクティベーション例:エミレーツ航空

デ・オウ選手権

そんな私の想いが通じたのか、ガンバ大阪のダイヤモンドパートナーである「ロート製薬」がサポーター参加型のスポンサーアクティベーションを実施。その名も……デ・オウ選手権』。

東口選手以外にも、昌子選手矢島選手、山本選手のパロディCM動画が公開されており、サポーターは「最もデ・オウのパロディCMキャラに相応しいと思う選手の動画を選んで投票する」形で参加する。昨年も同様の趣旨の企画が実施されており、ガンバサポーターの間では定番化しつつあるスポンサーアクティベーションである。

ロート製薬様への感謝と情報拡散の意味を込めて、このスポンサーアクティベーションの素晴らしいところを、過去に取材させていただいた他クラブの事例もふまえつつ、3つのポイントで考察する。

①サポーター参加型(共創)企画である

サポーターが持つスポンサーへのロイヤリティは高い。最近ではコンサドーレ札幌の“パートナー企業応援”をコンセプトとしたクラウドファンディングの成功事例もある。第三者ではなく、当事者として企画に参加できることによって、企業(パートナー)へのエンゲージメントも上がる。

2011年に実施された「ラムダッシュ」(パナソニック)の“一斉髭剃り”スポンサーアクティベーションは参加型の典型

②コメディ要素(大阪らしさ)がある

私も最初にこの動画を見た時には思わず「なんやこれ(笑)」と言ってしまったが、大阪のツッコミ文化によって情報が拡散できる。“選手のピッチ外の姿”に一定のニーズがあることはファン感謝祭などで証明済。中途半端にやると寒いが、川崎フロンターレのハロウィン企画に代表されるように本気でやると、パロディでも感動する。東口選手、昌子選手、矢島選手、山本選手、全員が素晴らしい演技をみせたことで笑いの量が増えた。

③シリーズ化しつつある

毎年実施することによって、スポンサーアクティベーションの記憶と共に、企業(商品)名がサポーター間で定着する。「ロート製薬?……あぁ、毎年やってるデ・オウ選手権の会社ね」。インパクトのある企画を連発するツエーゲン金沢は同シリーズの企画は開催時期まで固定化することで定着を図っている。

この素晴らしいスポンサーアクティベーションが実施されるまでには、きっと紆余曲折があったはず。ロート製薬さんに『デ・オウ選手権』の企画背景として、選手の人選理由や、動画撮影時のエピソードなど、裏話も聞いてみたいところ。

ロート製薬「デ・オウ」愛用させてもらってます(生活感溢れる容器の汚れはご了承ください)

『デ・オウ選手権の』募集は7/30(金)まで。No.1に輝く選手は誰だ。

アンブロ(デサント社)とガンバ大阪の絆 -百年続きますように-

2022年5月15日
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1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き