ここ数か月、よく聞かれることがある。
「なんでガンバ弱いの?」
この記事を読んでいるガンバサポーターの皆様にも、職場や学校で同じような質問が投げかけられいるのではないだろうか。多分、答えは1つではない。「監督が変わったから……」「怪我人が多くて……」「内弁慶で……」……etc. 数ある原因をそれぞれに分析する必要はあれど、今回はTV番組『ガンバファミリー』での倉田秋選手のコメントに着目したい。
倉田選手が番組内で語った話を要約すると……
- タイトルを獲っている時期はチームに一体感があった
- しかし、チームの人数が増えたことによって一体感が弱くなっている
- チームが勝てば全員が喜ぶなど一体感を生むアクションが足りない
ガンバが弱い原因を「一体感の欠如」とする意見であるが、本人も認めている通り、難しい問題である。試合に出ていない選手はチームの勝利が自身の出場機会に結びつかいないこともあり、素直に勝利を喜べない心情は理解できる。たくさん良い選手を抱えること=チーム力向上とはならない原因の1つである。
2002年ワールドカップにおいて、トルシエ監督が中村俊輔選手をメンバーから外した理由として「ベンチに座らせることによって不満因子となるリスク」を考慮したという話を聞いた。賛否両論あるだろうが、一般論として理解できる組織マネジメントだ。
ガンバでは藤本淳吾選手や、引退した藤ヶ谷陽介選手のようなキャリアのある選手達が、出場機会のなかった時でもフォアザチームの精神を持って行動していた幸運があったが、常にそうした選手がチームにいるとは限らず、ピッチ外の(リスク)マネジメントは常に考えるべき重要なテーマである。
矢島慎也選手は移籍するのか!?
そして、矢島慎也選手の件について触れるガンバ大阪に加入してから約半年が過ぎ、クラブを離れる可能性がサポーター間で噂されている。何かしらの報道があった訳ではなく、推測の域を出ない話ではあるが、矢島選手をとりまく状況を考えれば可能性がないとは言い切れない。加入後半年での移籍は、記憶では水本選手に続き2例目。噂が現実のものになれば異常事態だ。
話を倉田選手の指摘に戻す。矢島選手がチームの一体感に貢献するのは立場的に難しい。「運動有能感」という理論がある。すごいプレーができたり、努力が実ったり、監督や仲間から認められたりすると高まるものである。運動有能感が高い人はチームへ積極的に関与するようになると言われている。ただ、逆にこれが低いとチームへの関与が弱まってしまう。
矢島選手は監督や仲間から認められる“受容感”の欠如を感じる環境下にある。2月のキャンプではクルピ監督の期待をうけてトップチームでプレーしていたのにも関わらず、いつからかガンバU-23が居場所になっていた。自分より年下でキャリアの浅い高江選手がスタメンで抜擢されるのを横目に、J3で戦う日々は彼のガンバでの居場所を狭くしたかもしれない。同じく加入1年目で苦労した例としてはオ・ジェソクの話が有名だが、ジェソクには加地亮さんのサポートがあった。現在、クラブ内で矢島選手をサポートする選手はいるのだろうか。
年齢的にもまだ若い矢島選手が、U-23で宮本恒靖監督に指導を受けるのは悪い経験ではないし、焦る必要性もないと思っている。個人的には今後のガンバの中盤を仕切る逸材だと期待しているので、移籍の噂が現実のものになれば非常に残念。仮にクルピ監督が矢島選手を評価していなくても、我々サポーターの期待感をスタジアムでこれまで以上に示すことで、本人の受容感を高めることができればとも思う。
「チームに一体感が足りない」と指摘することは簡単だ。大切なのは、その課題に対する解決策を考えること。大所帯のチームだからこそ個々の立場や役割を尊重し、認めること。自分自身も組織に属する人間として意識したい。
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