Jリーグクラブとサポーターの“共創関係”について -修士論文で書きたいこと-




例えば、AKB48の「総選挙」。

推しのアイドルを少しでも上位に進出させるためにファンが徒党を組んで支援活動を行う。身銭を切って投票券が同梱されているCDを沢山買い、秋葉原の飲食店に投票を促すポスターを貼り、応援サイトを立ち上げ広報を行い……ファンは応援したい対象に直接的に影響を与えることができる。そして、結果を自分事として捉え、また来年の選挙に向けて想いを新たにするのだ。

ビジネスモデル的には揶揄されることも多かった現象だが、個人的には羨ましく見ていた。貢献できる役割があることは自分の居場所があることと同義であるから。希薄な人間関係が当たり前になっている時代において、価値を信じるコンテンツに貢献できる“繋がり”は重要な資本だ。彼等が熱狂する理由は孤独を感じる日常を通じて逆説的に理解できた。

類似例は多い。「SHOWROOM」「じゃがり校」「ネスカフェアンバサダー」「フットボリスタ・ラボ」……etc.コンテンツの提供者とお客様という境界線はなくなりつつある。情報過多で従来のプロモーション方法が通用しなくなりつつ中で、もはやコンテンツプロモーションの主体はお客様側にあるといっても過言ではないだろう。お客様が持つ知識や愛を活用できる仕組みをつくれたコンテンツがヒットしている。そういう時代になっている。

Jリーグサポーターの貢献意欲

Jリーグはどうか。

サポーターもAKB48ファンと同様に貢献意欲が高い。クラブに労力を投資できる関係性に価値を感じている人種だ。ガンバ大阪のスタジアム来場者に対する調査によると観戦理由として8割以上が「好きなクラブを応援したいから」を挙げ、57.1%が観戦歴10年以上であるなど所謂“コアファン”が多い実態が明らかになっている。

このメンタリティは他クラブのサポーターも同様に持っており、SC相模原の代表を務める望月氏も自身に気づきを与えてくれたとして「サポーターはクラブが上から目線でおもてなしするのではなくて、共にクラブを大きくしていきたいというのが本音なんですよ」というサポーターの言葉を書著内で紹介している。

しかし、実態としてはサポーターをお客様として扱っているクラブが未だ多い。2018年シーズンに実施したガンバ大阪の試合開催時における取組みは「マグロの解体ショー」「焼きたてサンマの提供」など、おもてなしの意味合いが強いものばかりであった。

Jリーグ全体の施策においても金曜日に試合を開催する「フライデーナイトJリーグ」が2018年より開始されたが、週末スタジアムに来れない層の新規ファン開拓に重きをおいたもので、内容的にも芸能人をゲストとして招待することや、グルメの無料提供などであり、サポーターの貢献意欲を活用しようというアプローチではない。

AKB48ファンを「羨ましく見ていた」と前述したのはこうした現状をふまえてのことであり、1人のサポーターとして、もっと貢献できることがあるのではないかと、もどかしい気持ちを抱えている。

では、具体的にはJリーグサポーターは何を行いたいのか。各種論文においてもサポーターの貢献欲こそ明らかになっているが、詳細は不明瞭である。実際、私の周りでも「スタジアムでの声援以外にも貢献したいのだけど、何をしたらいいのか分からない」と語るサポーター仲間は多い。日本サッカー界では監督の指示を待つのではなく、自主的に判断しプレーできる選手の育成が課題としてよく挙げられるが、同様の課題はサポーターにもあてはまる。

そこで修士論文では既に声援以外の貢献活動を自主的に行っているサポーターへのインタビューを通じて活動実績の詳細とそれに伴う課題を明らかにし、その振り返りから未来のクラブとの共創関係の具体をサポーターの立場から考察することにした。

Jリーグ・ガンバ大阪サポーターがブログを書き続けてきた理由

クラブとサポーターに発展性のある関係を

Jリーグサポーターは一体感ある応援をすることが特徴だとされる。ただ、その一体感は画一性と表裏一体であり、共感を高め過ぎることで生まれた排他性はゴール裏での応援強要などに現れ、サポーターの多様性を犠牲にしてきた側面も否定できない。同意ばかりの環境はコンテンツの質の低下をもたらすのだ。だからこそ、パイオニアとして既に活動を行っている“マイノリティ”なサポーター達の言葉が持つ意味は大きい。

Jリーグが開幕して四半世紀が過ぎ、成長のスピードが鈍化してきている。サポーター活動を通じてどう在りたいのか、クラブとどのような関係を築きたいのかを各々が考え、表明すべき時だ。自覚的なサポーターの数に比例してクラブとの共創関係は促進されていく。

サポーターをやめるとき

兆しはある。

ガンバ大阪に所属する遠藤保仁選手はサポーターに対して試合中に惜しいシーンがあった際は「あ~」ではなく、選手の奮起を促す意味で低音の「ウー」という声を出さないかと提案を行っている。これによりスタジアムの一体感を醸成しようという狙いである。また、クラブと共にガンバ大阪の魅力をサポーターと一緒にSNSで広報する「#ガンバ写真部」なる活動が2018年より開始されるなど、少しずつ関係性が変化しつつあるのだ。インタラクティブな関係性構築はきっとコンテンツ価値を高めることにもつながるだろう。

時代の流れを考えれば、相互理解を軸とした発展的なクラブとの関係性に価値を感じるサポーターは今後増えることが予想される。だからこそ、今やるべき研究テーマだと考えた。完成した暁には学術論文で終わらせるのではなく、何かしら形で公開したい。その際は是非、お読み頂ければ幸い。

では、また1年後。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガンバ大阪サポーターブロガー。東京在住30代男性。衛星放送会社勤務を経て、筑波大学大学院でスポーツ社会学修士。サッカー専門媒体での執筆活動も行う。週末ダイエットフットボーラー。趣味は炭水化物抜きダイエット。好きな食べ物はカレーライスとラーメン。