【ACLアウェイ遠征記 南京編】期待と虚無のループ -江蘇蘇寧戦-

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済南、広州上海に続く、今回のアウェイ中国ACL遠征の地は南京。“中国革命の父”である孫文が永眠する場所である。

孫文が「中国人は砂の民である。石にも、まして岩にもなり得ない民族である」という言葉を残し、中国人の団結力の無さを嘆いたのは有名な話。そんな彼が今、中国のサッカースタジアムの様子を見たらどんな感想を持つだろうか。

南京中山陵にある孫文像

砂の民とて、目の前に敵がいた場合には団結するということなのだろう。圧倒的な敵対心を求めて海外アウェイ遠征をしているので、個人的には殺伐とした中国のスタジアムの雰囲気は好きだ。

初のACL遠征の地・済南で相手サポーターから石を投げられた衝撃から10年。国内では絶対に経験できない“アウェイ感”にハマってしまい、海外遠征を続けている。

南京では我々の応援エリアが隔離されていたため、ホームサポーターから石は投げられず、中指も立てられなかったが、コレオグラフィを見ることはできた。中国の応援スタイルも少しずつ変化しているのかもしれない。

アウェイの洗礼 -ACL遠征のすすめ-

異国でブーイング。深夜に帰国

この記事は深夜2時にホテルの自室で書いている。中国の試合では、サポーターは安全上の理由から集団移動がルール。試合後、解散場所となるヒルトン南京までバス移動し、周辺で唯一深夜営業をしていた水餃子が美味い大衆食堂でささやかな残念会を行い、今に至る。格安航空券特有の深夜フライトと応援で疲れているが、試合後の興奮で目が冴えて眠れない。

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明日は深夜羽田着の便で帰国し、空港内のファーストフード店で始発を待って、そのまま出社予定(ゲーフラ持参出社)。

平日に仕事を休んで異国のスタジアムを訪ね、試合後は選手達にブーイング。そんな荒ぶる私たちを監視する中国の警備隊。客観視すると少し滑稽で笑ってしまう。私は何をしているのか。

特に近年のACLアウェイは勝てないことが多く、サポーター活動は苦痛を伴うものだと改めて痛感する日々。「今回も負けるかもしれない」……そんな心配ばかりしている。だからこそ応援してまうのだけど。

南京ではゴール裏3階席が応援エリアとして割り当てられた

孫文の言葉に勇気をもらっ

サポーター(私)がクラブに対して過度に期待し、夢を見がちであることは否定しない。前半10分で0-2にされる現実を直視しなければいけないことは分かっている。

試合前の期待感と、試合後の虚無感。サポーター活動はこの繰り返し。けど、抜け出せない。応援せずにはいられない。

最後は、孫文の言葉で記事を締める。

“人生すべて七転八倒だ。大切なことは慌てないことだ。絶望さえしなければ必ず成就する”

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1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き