「過剰戦力」の捉え方 -ガンバ大阪2019シーズン前半戦総括-




「過剰戦力(戦力過剰)」という言葉。割とよく使われている印象がある。それは最近のガンバ大阪に対しても然り。ただ、よく考えると不思議だ。18節終了時点で14位のクラブ戦力が過剰であるはずがない。戦力不足であるからこそ弱い。そう考える方が筋が通っている。そもそも戦力が過剰で何が問題なのだろうか。強いに越したことはないはずだ。

「過剰」が差す対象は人数にある。つまり、人が多すぎることが問題である。例えば、FW。ウィジョ、アデ、千真、食野、(敬斗)。ここに復帰した宇佐美が主力で活躍すると仮定すれば、2~3名の選手はかなり出番が限定されるであろう。伸び盛りの食野に出場経験を積ませられないことの是非などはよく語られている論点である。

「(選手の)タイプが違う」「ルヴァンカップ・天皇杯要員」「怪我人が出た時のリスクマネジメント」など選択肢(選手)を多く持つことは必ずしも悪いことではない。結果至上主義のプロクラブである以上、仕方ない側面もある。それでもなお「過剰戦力」を素直に受け入れられない理由を考えた際の仮説を日本が世界に誇る特有の美徳「もったいない(MOTTAINAI)」から考えてみる。

MOTTAINAI① 「実力を発揮できる場がないのはもったいない」

例えば、長崎にレンタル移籍をした途端7試合連続ゴールを決めた呉屋選手。環境次第では活躍できる実力があったことを証明した訳だが、ガンバに残っていればベンチ入りすら難しかったであろう。同じようなポテンシャルを秘めた選手はガンバに多く在籍している。ガンバで出場機会がないまま過ごすのか、仮にカテゴリーを落としてでも自分の実力を証明する場所を探すのか。寿命が短い選手の幸せを考えると出場できない環境に居続けてもらうことには心が痛むのだ。

MOTTAINAI② 「(使わないなら)高い年俸の選手を所属させるのはもったない」

お金(費用対効果)の話。ピッチで活躍(起用)する可能性が低い高年俸選手……つまり、ベテラン選手の扱いは経営上考慮せざるをえない。具体的な名前を挙げるのは避けるが、現状のガンバはスタメンの急激な若返りを図ったことによりベテラン選手達がベンチ、ベンチ外という状態になっている。「ピッチ外の貢献」「過去の功労」「この先に彼らの力が必要に……」などの要素を否定する訳ではないが、出場機会がないベテラン選手の人数規模的には正常な状態だとは思わない。

過剰戦力組織内でのモチベーション。そして、マネジメント

悲しいかなチーム内の熾烈なレギュラー争いで急成長した選手の事例をあまり思い出せない。戦いに敗れた者は去る。立場が人を育てる側面は強く、多くの選手は出場機会に比例して成長するので(ベンチの選手との)差は広がる一方だ。だからこそ、不遇の時代を越えたジェソクや、複数年連続で自分のポジションに新加入選手をぶつけられてもポジションを守った中澤聡太のような選手はサポーターにとって特別な存在になる。

一方で2回も移籍金を払って買い戻してもらえる宇佐美貴史のような特別な選手もいる。サポーターの立場的には大歓迎なのだが、一般的な会社で例えれば出世目前で急に“上がつかえる”状態になるようなものだ。私が食野の立場であれば「ガンバ倒産しろや、クソが!!セレッソに移籍してダービーでボコボコしたろか」と思う。もしかしたら、怒りに任せて宇佐美の上靴を隠すかもしれない。ただ、食野は私のようなクズサラリーマンのメンタリティではないので「楽しみです。アカデミーの選手で、憧れの目線で見ていた。一緒にやれるのは光栄」と立派なコメントを残している。

実は昨年の前半戦総括でも似たようなことを書いた。

矢島慎也や柿谷曜一朗の去就に想う“一体感”のつくり方 -ガンバ大阪2018シーズン前半戦総括-

チームの一体感が成績に影響を与えるのは経験から皆が肌感覚的に理解している中で、大所帯であるデメリットは昨年より表面化しているとも言える。元ガンバ大阪のコーチで現筑波大学蹴球部監督の小井土氏は「一人一役」という筑波大学の伝統を利用して全員に何かしらの役割を与える組織体制で大所帯をマネジメントしていると言うが、ガンバ大阪内にそこまでの役割はあるのだろうか。

小井土正亮(筑波大学蹴球部監督/元ガンバ大阪コーチ)氏の言葉から考えるチームマネジメント

クラブの幸せが必ずしも所属する選手の幸せにつながらない難しさ。全員が幸せになれる環境など存在しないことを改めて痛感する。誰かが犠牲になる。それが組織の常なのかもしれない。サポーターとして応援する対象や成功(幸せ)の定義を考えさせられる前半戦の4カ月だった。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガンバ大阪サポーターブロガー。東京在住30代男性。10年間の衛星放送会社勤務を経て、サッカーメディア会社へ。筑波大学大学院スポーツ社会学修士。週末ダイエットフットボーラー。趣味は炭水化物抜きダイエット。好きな食べ物はカレーライスとラーメン。