それでもガンバを応援せずにはいられない -デューク大阪インタビュー-

私が知る限り、ここ数年で最もスタジアムでの応援を重ねてきたガンバサポーターの1人である。国内外問わずガンバの試合が開催される場所には必ず彼の姿があった。デューク大阪。サポーターグループ「G-MEZZO」リーダー。喜怒哀楽を隠さず、率直に意見するキャラクターは個性派揃いのサポーター界においてもひと際存在感を放っている。選手、監督、スタッフに対する批判もクラブの発展を思ってこそ。根底にあるクラブへの愛は揺るがない。

そんなデューク氏に熱心なサポーターになった経緯やクラブとサポーターの関係性、応援の在り方などをテーマにインタビューを実施。発せられる言葉には現場に生きるサポーターだからこその説得力があった。

個人サポの寄せ集め

――まずは「G-MEZZO」を立ち上げた経緯から教えてください。

「僕らは万博記念競技場ゴール裏の爆心地……つまり、中央地帯で応援していた個人サポーターの集まりなんですよ。最初は2~3人の仲良くなったメンバーで応援するようになったことが立上げのきっかけです」

――1人爆心地で応援するのはかなり熱心なサポーターである印象を受けますが、ゴール裏歴は長いですか?

「いや、ゴール裏歴は長くないです。Jリーグが開幕した小6の頃からしばらくはSB席で観ていました。コナモンさんが『歌え!万博』を活動されていた比較的上層エリアが最初の居場所。けど、降格する2012年の数年前から(ガンバ大阪の)成績が落ちてきたので『自分も見てるだけじゃなくて、なんかせなアカンな』とゴール裏に移動しました。実はそこから1度サポーターグループとしての活動は経験しています」

――つまり、「G-MEZZO」は2度目のグループ活動であるということですか?1人で応援していた時期はある種の過渡期だった訳ですね。

「そうです。降格したシーズン(2012年)の中断期間中に、ゴール裏で応援していた個人サポーターで集まって決起集会的な飲み会をしたんです。『今シーズンは大変だろうけど最後まで応援を頑張ろう』と、その時に飲んだメンバー7人を中心に『志』というサポーターグループが組成された。このグループは僕とAさんを中心に活動して、1年でメンバーも30人くらいになった。最初は楽しかったのですが、メンバー間の熱量の差や応援に対する考え方に次第に違いが出てきて……。

結局、様々なズレの積み重ねで次のシーズン半ばに僕がグループから出ていくことになりました。僕を支持してくれるメンバーもいたのでグループを分割するという話もあったのですが、最終的には『僕が出ていくので皆はまとまってやってくれ』と……。色々ありましたが、Aさんやその他のメンバーとは今でも仲はいいですよ(笑)」

――規模の大小はあれ、サポーターグループが解散・分裂するのはよく聞く話です。熱量の差、グループ内の男女関係、お金……。一度、グループ活動でネガティブな経験をされたのにも関わらず「G-MEZZO」で2度目を始められるのは不思議な気がします。

「だから、G-MEZZOのメンバーはグループを組んでいるものの1人でも活動できる人ばかり。誰かに依存して、場所(応援席)を取ってもらうためという動機の人はいない。活動内容も個人に委ねられていて、ユースやジュニアユース、U-23ばっかり応援するのも良し、選手のおっかけでも良し」

――そこは「志」での反省がある。

「中心人物の考えをベースに活動していたのが『志』だとすれば、僕ら(G-MEZZO)は“核”が存在しないグループ。個人サポの寄せ集めなので。メンバーも一番上は40代半ばで、一番下は女子高生とバラバラ。家族でメンバーの人もいます。年齢層も仕事も皆、バラバラ。応援に対するスタンスが違うことも問題ない。だから、KPIや活動目的も特に定めていません。メンバーも全員で20人くらい在籍していますが、スタジアムで全員が揃うことは(大阪)ダービーなど特別な試合を除いてほぼないですね」

――少し意地悪な質問になりますが、ここまでの話を聞く限りはグループを組成する意義が薄いと感じます。グループで活動するからこそのメリットはあるのでしょうか?

「回答が難しいですけど、複数人が集まったからこそ生み出せる空気感。最後まで一生懸命応援を頑張り抜ける。それは本来、1人でもやらなければいけないこと。けど、グループとして『G-MEZZO』の看板を掲げることでプライドを持てる部分もある。決意表明ですね」

異国に遠征し、現地サポーターとの交流も

サポーターは面倒臭い

――ここからはサポーターとクラブの関係性について伺わせてください。現状、G-MEZZOとしてクラブとコミュニケーションは取られているのでしょうか?

「ないですね。何か思うことがあった時はスタジアムで(ガンバ大阪の)社員に直接言うようにしています」

――クラブはサポーターとのコミュニケーションをどのように考えているのでしょうか。積極的にとりたいとは考えていなさそうな印象ですが。

「今はサポーターミーティングも未開催ですしね……。J2に降格した際に(サポーターミーティングを)定期的に実施していくとクラブはサポーターと約束したことなのに、うやむやにされている。面倒臭いと思われているんでしょうね。クラブがどのような方向性、フィロソフィーを持って活動していくのか僕らは知れない。そういうことを提示してもらえる場が今はない」

――「面倒臭い」という言葉がありましたが、確かにガンバサポーターは少し荒っぽい側面を持っています。スタジアムでの応援においてはそれが迫力になる一方で、クラブとのコミュニケーションにおいては障害になっている可能性がある。

「ガンバ大阪の応援はウルトラスを志向しています。イタリアのアタランタなどをモデルとしていて、Jリーグの中でも特異的なもの。結果、多くの若者だけではなく、女性も含めてゴール裏での応援に参加させることにつながった。ただ、その荒っぽさは多くのアンチも生んだし、結果的にクラブはウルトラス志向のサポーターをコントロール出来なかった。『ナチス旗事件』以前にも、『ロアッソ君事件』などクラブからの警告は3~4回あったんじゃないですか。それらの事件でクラブもダメージを受けた過去はふまえなきゃいけないでしょうね」

【ドルトムント遠征記】イタリアのガンバ大阪

――そうした事件もふまえて、クラブとサポーターで構成された『応援のあり方に関するプロジェクトチーム』が立ち上がります。しかし、ここ1年以上このチームでどのような活動が行われているか発信されていません。可視化されていないだけで水面下では活動している可能性はありますが、特に変化を感じる事象も起きていません。

「本来、サポーター活動は(サポーターが)志をもった自治であるべきだと思います。だから、近年のクラブとサポーターの関係性は微妙。規制が多く応援が自由にできない。クラブにものを言いにくい関係性になる不安はあります」

――相互性というか、発展性がある関係性を構築したいですね。

「クラブはサポーターをコントロールできなかった。その失敗をふまえて一度リセットする選択肢はあったと思うんです。けど、『応援のあり方に関するプロジェクトチーム』も何を議論しているのか分からないまま曖昧に以前からのイタリアのウルトラス路線をなぞって今に至ります。ただ、これまで応援を牽引していたBROSも(コールリーダーであった)ミッシェルさんもいない。それで本当に(ウルトラ志向の応援が)成立するのか。今もまだ模索中な感じが続いているように感じます」

――確かにミッシェルさんのようなカリスマ性を持った方を失ったことによる応援の迫力減は失って初めて痛感する部分でもあります。

「名物コールリーダーが現場から去る影響は大きい。浦和の角田さん(URAWA BOYS)とか他クラブでも類似事例はありますよね。(コールリーダーには)理屈を超えたカッコよさが求められます。『歌え!飛べ!叫べ!』って言われた時に『なんだ?あいつ』とならない人間。一朝一夕では後継者は生まれてこないです。けど、今のコールリーダーは試合前に必ず両スタンドのサポーターに挨拶に行くなど、毎試合積み重ねで頑張っていますよ」

――クラブとサポーターのコミュニケーションの弊害としてサポーターの問題言動があります。無自覚と言うか、想像力の欠如と言うか……。改善するためにはどのようなアプローチがあると考えられますか?

「無理でしょう(笑)。特に今はSNSがあるので悪い行動が全て可視化されてしまう。悪ふざけを面白がってSNSであげてしまったことで炎上した事例もありますよね。世の中には幼稚な行動をする人間は必ずいます」

――よく議論されることですが、悪い言動のサポーターはマイノリティです。ただ、その存在によって多くのサポーターとクラブの関係性に影響を与えているのは解せないという意見もあります。

「心情的には理解はできるのですが、それは身内の理論です。僕達はサッカー界の外にいる人からの目線を意識しなくてはいけない。そうしたことをクラブは自覚しているからこそ予防線を敷いているのかなとも思います。『勝手に横断幕だしたら出禁』『居残りしたら出禁』と一律で対応している」

――難しいラインですが、スタジアム内においては非日常を求めたい気持ちがあるという人の考え方も理解できます。勿論、差別発言や暴力につながってしまうのは論外ですが、“煽り”まで監視されている現状には少し息苦しさを覚えてしまいます。

「そこはせめぎ合いがあるのかなと。押さえつけられているサポーターの不満と、Jリーグから監視されているクラブの不安。クラブの立場としては『Jリーグから言われてるんだからちゃんと頼むよ』という部分もあるかもしれません。特にガンバ(サポーター)は何度か問題を起こしているので、次は(Jリーグから)厳罰の可能性があるからこそクラブは厳しく抑え込もうしている可能性もある。ただ、これは推測。だからこそクラブとサポーターのコミュニケーションはあった方がいい。まずはサポミの復活ですよ。質疑応答はしなくていい。事前に質問を募集した上でプレゼンテーションの形で実施すればいいと思います」

ガンバを一番にしてしまうのはダメ

――最後はデュークさん個人についてお聞かせください。ちょっとスタジアムに行き過ぎじゃないですか?(笑)

「正直、毎試合ホームもアウェイも現地に行くことが当たり前になっていますね。最近はそれが惰性になっているのではないかと考えることもあります。台風が来ている状況で帰れない可能性もあるような時に、平日日帰りで応援に行くとか我ながら『何をしてるんだろう』と思う時はありますよ(笑)」

――何がデュークさんをそこまでさせるのでしょうか?

「ガンバ大阪はアイデンティティなんですよ。僕は中学受験で大阪に住みながら京都の学校に6年間通った。大学は大分です。おかげでトリニータのチャントも大体歌える(笑)。だから、大阪は生まれ育った場所なのに地元にあんまり友達がいない。学生の時も社会人になって帰ってきた時も、大阪は僕にとってアウェイ状態とも言えるんですね。そうした中ですっと大阪と自分を結び付けてくれる存在がガンバ大阪」

――そんな自身のアイデンティティであるクラブとこの先はどのように向き合っていきますか?

「もちろんガンバは今後も大切なものであり続ければ嬉しいですが、そういう人って独身が多いですよね(笑)。僕は昨年家庭を持ったので、家庭が1番、ガンバは2番。今年はせめてJ3の応援は控えるようにして、ベースである日常生活を大切にする意識を持っています。仕事では独立も考えていますし、自分の優先順位でガンバを1番にしてしまうのはダメだと思う」

――個人的には耳が痛い言葉です(笑)

「グループでサポーター活動を行うメリットはここにもあるかもしれないですね。つまり、仕事や家庭の都合で1~2年スタジアムを離れても、戻ってこれる仲間がいるのは大きい。スタジアムに居場所があるということ。だから、僕も仕事で独立して数年は今みたいに応援できなくなるかもしれないですけど、またスタジアムに行くことをモチベーションに仕事を頑張れる気もします。サポーター活動も仕事も惰性では行わない。本気で勝負しなければ何も得ることはできませんからね」

――ありがとうございました。


Osaka DUKE
デューク大阪

万博はチャリで15分。初めて見たサッカークラブが松下電器産業サッカー部だったのは運命か、必然か?人生は終わりなき青黒の旅人。ちょっと狂ってるくらいが楽しい、今年前厄のおっさんサポーター。自称、常識人。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

ガンバ大阪サポーターブロガー。東京在住30代男性。10年間の衛星放送会社勤務を経て、サッカーメディア会社へ。筑波大学大学院スポーツ社会学修士。週末ダイエットフットボーラー。趣味は炭水化物抜きダイエット。好きな食べ物はカレーライスとラーメン。