何のために書くのか -サッカーブログ運営15年目の迷い-

メディア寄稿実績

『ハケンアニメ』を観た。吉岡里帆さん演じる新人アニメ監督が主人公のお仕事映画である。社内外の様々な困難にも負けず、信念を貫き、仲間のサポートも受けて、アニメを完成させる……王道ストーリーだからこそ、鑑賞者は自分と重ねやすかったのだろう。上映後、泣いている方を確認することもできた。

個人的には映画のキーポイントである「主人公がアニメ業界を志した理由」に涙腺が緩んだ。ネタバレになるので詳細の記述は避けるが、そこに社会性があることが重要だった。仕事が社会貢献に繋がるのは当たり前だが、“好き”を仕事にすると見失う時がある。

憧れの職業として「ユーチューバー/動画投稿者」が上位にランクインする時代。書店に行けば「セルフプロデュース」に関する本が羅列され、SNSを開けばインフルエンサーが「マネタイズ法」をレクチャーしている。現代を生きる上で大切なスキルだと思う一方で、モチベーションが利己的だと感じることも多い。何の対価として影響力(お金)を得られているのかという視点は忘れたくないところ。

「社会性」「社会貢献」なんて大きな言葉を使ったが、『ハケンアニメ』では主人公の隣に住んでいる少年をアニメ(=仕事)で救うことがフォーカスして描かれている。好きなことを頑張って、身近な誰かの役に立つ。大切なことを思い出させてもらった。

CV(コンバージョン)が設定されていないブログ

私が好きなのは「サッカーについて書くこと」だ。そして、映画鑑賞後からずっと考えているのはこのブログのこと。“趣味”として2007年から15年以上続けているが、それなりの時間を投資している中で、もっと人の役に立てる運営方法があるのではないか……。

ガンバ大阪サポーターがブログを書き続けてきた理由

2018年10月18日

退団する選手を憂いセンチメンタルな心の声をネットに晒し続けたことが、試合のチケット販促、グッズの売上に貢献した手応えはない。

「ポジティブな情報発信をすることで、スタジアム観戦に興味を持つ人を増やす」
「マスコミとは違う“サポーター目線”の感想で、新たなサッカーの魅力を引き出す」

ブログ運営における志はあれど、実際には自分が書いた文章によってヘイトを生んでしまうこともあったし、情報発信の難しさを痛感する日々。

インフルエンサーによるマネタイズ法を“利己的”と前述したが、このブログより何倍も社会の役に立っていることは理解している。「ダイエット関連商品のアフィリエイトは利益率が高いんですよ」というアドバイスで、当該商品を売る人が増え、経済が回るのだから。稼いだお金は、社会貢献の証。

残り時間を意識して

「書くことが好き。興味があれば、たまに読んで下さいね」

ブログに対する私のスタンスだ。好きだから書ける。楽しいから続ける。読んでくれる人がいたらラッキー……このメンタリティで問題はない。気負い過ぎていないからこそ、長年続け来られた側面もある。そもそも、ブログは仕事ではない。

「お金にならない価値」があることも知っている。執筆した記事を通じて、多くの共感を得た実感はある。数々の出会いももたらしてくれた。ただ……だからこそ、自分の喜びだけではなく、他者に貢献できるアウトプットとは何なのかを考え続けている。

最近、「ロートさん」や「アンブロさん」の記事を書いた背景にはこうした想いがある。例えば、ガンバが試合チケットの成果報酬型広告(アフィリエイト)を開始したら、チケット販売をCVとした記事を量産するかもしれない。

定期的に問い合わせが入る「記事を書いてみたいのだけど……」という人向けにブログ運営に関する経験を共有する場を設けてもいい。仲間が増えたら、同人誌のような新しいコンテンツを共創できる発展性も見えてくるかもしれない。

この先のブログ運営をどうしたいのか。

昔から企画(構想)実現力が低く、小さくまとまってしまうので、最近は人と直接話す(相談する)ことを増やしている。自分の年齢(体力・気力)的にフル稼働できる期間はあと10年くらい。着眼点、発想法もきっと衰える。今後、自分は何をやりたいのか……自問自答を繰り返している。

Digiprove sealCopyright protected by Digiprove
人気記事紹介

ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き