記念すべきガンバ大阪創立30周年シーズンが開幕した矢先、コロナ感染による試合中止(延期)が決定。ガンバ大阪は2年連続ホーム開幕戦が直前に延期になっており、厳しい状況が依然として続いている。しかし、下を向いていても何も始まらない。ピンチはチャンス。試合がない時間を有効活用すべく緊急企画を実施。
30周年という節目に歴史を振り返ることは意義があるはず。過去を知れば今が見えてくる。そんな想いと共に、2000年以降に発表されたガンバ大阪をテーマとした記事・動画の中から独断と偏見で面白かったものをランキング形式で紹介する。ライター、サポーター、OB選手……様々な立場の方が多様な視点で発表した珠玉のコンテンツをお楽しみあれ。
俺が愛したガンバ大阪の記事・動画ベスト10
10位:【フットボールサミット第15回 「攻め勝つ」ガンバ大阪の流儀】より『ガンバボーイ誕生秘話』(宇都宮轍壱さん/2013年)
「ガンバボーイ誕生秘話」というニッチなテーマの記事が掲載されているのは、ガンバ大阪をまるごと一冊特集している雑誌ならでは。ライターはJリーグマスコットに関する記事を多く発表されている宇都宮徹壱さん。ガンバボーイが当初「すすむくん」と呼ばれていたという冒頭のエピソードから一気に引き込まれる。編集長の森哲也さんにはプライベートでも大変お世話になっている尊敬すべきサッカーメディア人。
9位:【カジオログ】より 『ジェフ千葉戦』(kajidaisanjiさん/2013年)
伝説のサポーターブログ。基本的に加地選手にフォーカスする記事が更新される。私がブログを始めた際に参考にしたブロガーが何人かいたが、kajidaisanjiさんだけは絶対に真似できないと思った。唯一無二のセンスには嫉妬すら覚える。「チューチュー」シリーズは本ブログ最大のヒット。
8位:【みんなのごはん】より 『あの勝ちがなかったら今、監督ではいられなかった……長谷川健太の運命を分けた一戦』(森雅史さん/2017年)
グルメサイトにも関わらず、異常にクオリティの高いサッカーインタビュー記事が掲載される「みんなのごはん」。本心が見えにくい印象もあった長谷川健太監督が、具体的なエピソードも交えながら自身の指導哲学を語っている。本記事の中で「これ以上混んだら困るので名前は秘密」としているホルモン屋さんはおそらく『デンスケ』。
7位:【footballista】より 『「らしさ」の言語化。ガンバアカデミーメソッドの構築(坪倉進弥インタビュー後編)』(金川誉さん/2020年)
2020年よりガンバ大阪アカデミー部門を統括する「アカデミー・ヘッド・オブ・コーチング」に就任した坪倉進弥氏インタビュー。書き手はスポーツ報知の番記者である金川誉さん。7項目で構成されるというゲームモデルの話は必読。ガンバの歴史、サポーターの気質など総合的にふまえてチームのスタイルが形成される面白さ。“上野山信行さん以降”のガンバ大阪がどこに向かうのかを考えるヒントになる。
6位:【CAZI散歩】より 『第十五話』(加地亮さん/2020年)
ガンバ大阪OBである加地亮さんをMCに迎えた『GAMBA-FAMiLY.NET(ガンバ大阪公式チャンネル)』内YouTube番組。オフザピッチの話題が多い番組だが、加地さんが若手選手相手にたまに垣間見せる元日本代表選手としての教示がツボ。中澤聡太&武井拓也(ガンバ大阪バラエティ班)がゲストとして登場し、ロニー、マグノアウベス、ミネイロら外国人選手との想い出を話す「第十五話」は神回。
5位:【週刊サッカーダイジェスト No.977】より『勝負弱いなんて、もう言わせない』(飯尾篤史さん/2008年)
ACL優勝記念号。飯尾篤史さんがサカダイのガンバ担当だった頃を知らない若いサポーターも増えてきているかもしれない。“攻め勝つ”ガンバらしさをテーマに大会を振り返るコラム。記事内で引用されるチーム関係者のコメントが秀逸で読者を熱くさせる。ヤット「ガンバの強さを証明できた」。
4位:【ガンバ大阪25年史】より 『違うことができる楽しみを考えている』(河合拓さん/2016年)
西野朗監督インタビュー。就任当時に感じたヤット、フタ、ハッシーら若手選手のポテンシャル、アトランタ五輪時代の守備的なチーム作りからガンバでの攻撃的スタイルへの変遷、長期政権、関西のスポーツ文化……ガンバ大阪の黄金期と言っていい西野体制時代の総括的内容。「15年史」「20年史」「25年史」はベースボールマガジン社制作。今年発売の30年史も……?
3位:【ガンバ大阪 THE LOCKER ROOM ~変革2020~】(ガンバ大阪/2021年)
湘南ベルマーレのDVDが大ヒットしたことで、各クラブが真似をした「ロッカールーム映像」シリーズのガンバ大阪版第2弾。“見えないところが見える”面白さがある。特に2020シーズンは同コンテンツ内の倉田秋選手インタビューでも言及されている通り、昌子選手加入の影響でロッカールームの雰囲気が変化した様子。コンテンツ的には当たり年。宮本監督の激怒など、厳しい勝負の世界を垣間見ることができる。
2位:【週刊サッカーダイジェスト No.814】より『熱き青の力、祈り、願いとともに』(川原崇さん/2005年)
Jリーグ初優勝を記念したクラブ担当編集者コラム。ライターは客観的かつ中立な立場で記事を書かなければならない……そんな考えを壊してくれたのが川原崇さん。主観と客観が入り混じる文章は熱量をもって優勝シーズンを振り返らせてくれる。書き手のガンバ愛がダイレクトに伝わってくる名文。ちなみに社会人になってからサカダイ編集部に遊びに行った際、川原さんにサインをいただいたことは密かな自慢。
1位:【週刊サッカーダイジェスト No.744】より『覚醒のとき、来たり』(川原崇さん/2004年)
まだ毎節の試合をTVで観れなかった時代、毎週水曜日(途中から火曜日)に本屋でサッカーダイジェストのマッチレビュー記事読むのが習慣だった。なぜガンバ大阪はこんなにも弱いのかを考察する日々。そんな弱小時代の終わりを初めて感じさせてくれたのがこの記事。鹿島に勝って、川原さんが何を書くのか楽しみにしていた。最後の一文を読んだ時の興奮は未だに忘れない。「強い。間違いなく強い」。
番外編①:【YAHOO!ニュース】より『高村美砂さんシリーズ』
ガンバサポーターは高村美砂さんの文章を読んで育ってきたと言っても過言ではない。イヤーズブックやファンクラブ会報誌など公式媒体で多くの記事を執筆されている。そんな中でYAHOO!ニュースで公開される試合後の選手インタビューは貴重な情報源。ガンバテキストコンテンツ界ではなくてはならない存在。
番外編②:自薦コンテンツ
僭越ながら最後に自薦コンテンツも少し。クラブとサポーターの関係性をテーマとした『広報の奥永憲治さん、施設運営課の松浦悠紀さんインタビュー』は、今年実施している「クラウドファンディング」や「特別ユニホーム」にも通じる話が語られており、ガンバサポーターの皆様には面白く読んで頂けるはず。遠藤保仁選手や高木大輔選手のインタビュー記事とセットで是非。
終わりに
気が付いた時には家の本棚はガンバ関連書籍・雑誌で溢れていた。どのコンテンツを読んでも当時の想いが甦ってきて私にとっては宝物だ。ただ、読む頻度は年に数回あるかないか。自分の棚で埃をかぶらせるのは勿体ない。今後もしガンバ大阪が「ガンバ図書館(資料館)」を建設することになった際、足りない書籍・雑誌を私が持っているなら喜んで寄贈したい。コンテンツは人の目に触れてこそ価値があるし、ガンバ大阪の歴史を紡ぐことに微力ながらでも貢献できるなら、それ以上の喜びはない。そんなことを夢見ながら、将来のガンバサポーターに読んでもらうために、今日もエルゴラッソをラミネート加工して劣化を防ぐことにしよう。
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