唐山翔自選手は夢か、罠か -タピオカブームから考える若手選手の海外移籍トレンド-

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進撃の巨人」にこんなエピソードが出てくる。

他国との交流が始まったことにより貿易が開始。輸入されたワインは評判を呼び、巷で大流行するのだが、それは相手国の罠だった。そのワインには巨人になってしまう薬が混入されていたのであった……。

このエピソードを読んで以降、私はタピオカを飲まないようにしている。流行から取り残されようが、巨人になるよりはマシだ。物事には裏表がある。私はそれを進撃の巨人と、ベッキーから学んだ。光が強いほど影は濃くなる。タピオカは眩しすぎる。現時点でタピオカブームの闇として語られているのは、ゴミ問題、ヤクザが経営、ハイカロリー……そのうち、もっとヤバい闇が公になるのではないかと予想している。

タピオカブームから考える若手選手の移籍トレンド

ガンバ大阪U-23で活躍を見せる唐山翔自選手

そんなことを考えながらガンバ大阪U-23の試合を観ていたら、タピオカを彷彿とさせる少年が大人を相手に無双していた。唐山翔自(とうやま しょうじ)選手。世代別日本代表にも選出されるガンバユース期待のFWである。「唐山君がいればガンバのFWは10年安泰だ!」……と、素直に喜べないのが最近のJリーグ。ゴールの喜びの次にくる感情は「……いつ海外クラブに獲られちゃうのかな」だ。10代選手の活躍は罠なのだ。タピオカなのだ。堂安律選手食野亮太郎選手中村敬斗選手の事例で痛感した。優秀な若手は海外クラブの投資対象として奪われる運命にある。

しかし、である。何事も極端に傾いた時は、次にバランスを取る動きが起きることを歴史が証明している。働き過ぎた時代があるからこそ「働き方改革」が推進されているのであるし、西野朗監督時代があるからこそ長谷川健太監督が招集される。余談ながら、タピオカも世間のコーヒーへの飽きから注目が集まったことがブームのきっかけと言われている。

長谷川健太前監督を敵視する是非 -FC東京戦での再会-

つまり言いたいのは、10代選手の海外移籍トレンドの反動で「国内残留ブーム」が訪れる可能性はあるのではないかということ。川崎フロンターレの躍進もあり、大卒選手が再評価されつつあるトレンドからも風向きの変化の兆しを感じる。

だから、私は唐山君に夢を見ようと思う。世代が変われば考え方も変わる。彼がガンバに自身の将来を見つけてくれるかもしれない。ガンバのタピオカは罠ではなく、希望だと信じて。

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1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き