前半途中の岩下敬輔選手交代から生まれたドラマ -「0-2は危険なスコア」は本当だった-

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選手交代を告げられた後、控室に颯爽と走り去った岩下選手の後ろ姿を目で追いながら、控室での姿を想像する。壁を殴っていたかもしれないし、涙を流していたかもしれない。あることないことを妄想しながらサッカー観戦を楽しめるのは、サポーターの特権だ。

ただ、今年のガンバはそんな妄想をする以外の楽しみが少なかったとも言える。優勝争いもない。残留争いもない。誰かの引退が予定されている訳でもなく、監督も変わらない。今節の見所は「リーグ戦で4位になれば、天皇杯の結果次第でACLの出場権を得られる……かも」だった。サッカーに詳しくない人は理解できないであろうマニアックさ。

試合前、フロンターレのフロントスタッフである天野春果さんサイン会に長蛇の列ができ、観客席は満席となった等々力競技場を見ながら、我がクラブの未来を心配してしまった。興行的に今のガンバはつまらなすぎるのではないか……と。

クラブカラ―に染まる街 -等々力陸上競技場へ向かう道で感じたこと-

来シーズンにつながる勝利

前半途中、ガンバ大阪のゴール裏から「おーい!今日のサッカーもつまらないぞー」と野次が飛んだ。攻撃の形は皆無。守備も川崎のパス回しにまったく対応できず、無数の決定機を作られる。その結果として、冒頭の岩下選手の交代(しかも前半途中)が起きた。前半終了時のスコアは0-2。この時、誰が逆転を想像できただろうか。

有名な格言(?)「0-2は危険なスコア」は、長谷川健太監督のチームのみ対象外になるものだとばかり思っていた。今年の五輪で悔しい想いをした藤春選手や、急成長を見せた井手口選手、完全移籍が決定したアデミウソン選手……得点者も素晴らしい。選手たちにとっては、リーグ戦4位という目指せるシチュエーションはモチベーションを駆り立てられるものだったのかもしれない。

前半は野次で盛り上がったガンバゴール裏

現体制でACLに出場するリスクは多くの方が指摘しているが、今節の結果(試合内容)しかり、勝負事はやってみなければ分からない。長谷川ガンバにおいて、1つのサイクルが終わったことは否定できないが、来シーズンの現体制継続が決定している以上、今節の勝利(リーグ4位獲得)が来年にむけて良い流れにつながることを期待したい。

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1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。2020年に筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。現在はスポーツ系出版社のライター&WEBサイト運営。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆。F1と競馬も好き